2023 Fiscal Year Research-status Report
プリオン病の免疫疾患としての解析および免疫分子標的薬・診断法の開発
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23K06956
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
佐野 和憲 福岡大学, 薬学部, 准教授 (50534343)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | プリオン病 / 免疫疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
プリオン病は原因不明な疾患であり、有効な治療法も存在しない。研究代表者は、プリオン病では、その病原体である異常プリオン蛋白質の増幅や発症が認められる前から免疫に関連するある特定の分子「分子X」に異常が起こることを見出している。従って、プリオン病は免疫疾患としての側面を持っており、異常分子Xが異常プリオン蛋白質の増幅や発症に関与すると推測する。本研究では、プリオン病における異常分子Xの機能を解析することで、プリオン病の原因解明に迫り、さらに異常分子Xを標的としたプリオン病治療・診断へと研究を展開するための研究基盤を構築することが目的である。
分子Xの発現異常を確認したプリオン病マウス脳、正常マウス脳から精製したRNAについて、RNAシークエンス解析においてプリオン病特異的なスプライシングバリアント(SV)が検出された。そのSVは分子Xの18個のExonのうちExon 1~Exon 8を有しており、そのSVから生成するとされる蛋白質の分子量の理論値とウエスタンブロット法解析で認められた異常分子Xの分子量は同程度であった。またRNAシークエンス解析、RT-PCR解析において、プリオン病マウス脳では分子Xの発現増加もまた示された。分子Xに対するモノクローナル抗体を用いたウエスタンブロット法解析では、そのSVから生成するとされる蛋白質のエピトープを認識する抗体では分子X及び異常分子Xが検出され、一方、その蛋白質が有さないエピトープを認識する抗体では異常分子Xは検出されず、分子Xのみが検出された。ウエスタンブロット法解析でもまた、分子X発現の増加が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
異常分子XとされるDNA・RNAの塩基配列及びタンパク質の塩基配列を特定することができている。またその異常分子X及び分子X 発現用プラスミドベクターの構築も開始している。 従っておおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
分子X及び異常分子Xの発現を人為的に操作できるようにプラスミドベクター等を構築する。それらのプラスミドベクター等を培養細胞もしくはマウスに導入し、異常プリオン蛋白質発生に対する分子X、異常分子Xの作用をWB法、免疫組織化学染色(IHC)法等で解析する。
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