2023 Fiscal Year Research-status Report
Identification of mitochondrial disease as a cause of leukoencephalopathy and dementia and search for novel biomarkers.
Project/Area Number |
23K06966
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
岡本 裕嗣 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (60709658)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ミトコンドリア病 / 白質脳症 / 認知症 / 小血管病 / 次世代シークエンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
ミトコントドリア病の病態は多様であり、小児期から成人期にかけて筋疾患、肝疾患、脳卒中様症状など様々な病態を引き起こすが、遺伝子診断未確定のため確定診断に至らない症例が数多く存在する。我々の施設でも、過去の研究より高齢者のミトコンドリア関連疾患が多く存在すると考えており、原因不明の白質脳症および認知症の原因としてミトコンドリア異常によるものが潜在的にあるのではないかと推測している。本年度は遺伝子診断についてのストラテジーを構築した。まず、ミトコンドリア病ではない白質脳症を遺伝子的に除外した上で、ミトコンドリア病関連疾患を調べるという末梢神経障害でも有用であった方法である。 これまでの遺伝子解析の実績などから、当施設だけでミトコンドリア病疑いは300例、原因不明の白質脳症だけでも400検体近くの検体を既に有している。我々は、白質脳症パネルをオリジナルで作成し、次世代シークエンサーを用いてスクリーニングを行った。パネルにのった原因遺伝子は小血管病関連、髄鞘低形成関連、蓄積/変性関連の遺伝子66個を抽出し検討した。本施設にあった検体から268例 (2006-2021)と147例(2021-2024)の合計415例ついて施行したところ、NOTCH3 72例、HTRA1 12例、PRNP 8例、ABCD 2例、GALC 1例、CSF1R 1例、TBK 1例(合計に97例 23.4%)に異常を認めた。同定されなかったものを次のミトコンドリア病パネルへと進める。検索する遺伝子として、既にミトコンドリア病の病的遺伝子として報告されている167遺伝子を診断パネルとして検索。陰性例に関しては全エクソーム解析を行い、疾病の原因として報告されていないミトコンドリア関連遺伝子について検索を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次世代シークエンサーで検討する白質脳症パネルに搭載する原因遺伝子を小血管病関連、髄鞘低形成関連、蓄積/変性関連の遺伝子66個を抽出し検討した。本施設にあった検体415例ついて施行したところ、NOTCH3 72例、HTRA1 12例、PRNP 8例、ABCD 2例、GALC 1例、CSF1R 1例、TBK 1例と23.4%に異常を認めた。今後も同様の検索を継続する予定である。また、次なるミトコンドリア病パネルについては、次世代シークエンサーを用いたミトコンドリアDNAの全周性のシークエンスと、申請者らがミトコンドリア病に伴う、ミオパチー、末梢神経障害の検索のために過去に報告のあった核ミトコンドリア病の原因遺伝子167個を搭載したパネルを作成し、既に実行中であるが、そのパネルを用いた2次検査を行い、陰性例に関しては全エキソームシークエンスを行う予定である。 上記の方法で、ミトコンドリア病確実例を同定し、その上で、先行研究 (KAKEN: 20K07906)で同定した候補バイオマーカーの有用性を検討す る。有益がバイオマーカーが推定された場合には他疾患への検討なども行い感度、特異度を高める努力を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、今年度までに行われなかったミトコンドリア遺伝子解析を優先して行なっていく。その上で、新規原因遺伝子が同定された場合、家系内の遺伝子検査を行い、real-timePCRなどにより発現なども評価する。その上で機能解析を行う。方法としては生化学検査 (筋肉組織、繊維芽培養細胞)を用いてBN-PAGE (Blue Native Polyacryamide Gell ectrophoresis) を用いたイムノブ ロット解析やミトコンドリア呼吸鎖の酵素活性の測定を行なう。さらにショウジョウバエモデルを用いてSiRNA法による遺伝子KO(ノックアウ ト)ショウジョウバエを作成し、神経、運動機能解析を行う。同様にモルフォリーノ人工核酸を用いて、ゼブラフィッシュモデルを作成し、神経、運動機能解析を行うことも検討する。また、我々は我々は先行研究により髄液メタボローム解析を行い、複数の新規バイオマーカ ー候補を見出した。ミトコンドリア病の髄液を用いたメタボローム解析は過去に報告がない。本研究では、これらのバイオマーカーを中心に白質脳症・認知症の新規バイオマーカーの探索も同時に進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は研究計画のためにパネルをデザインし作成することなどに時間を要して、実際に次世代シークエンスを行い施行した検体に限りがあった。次年度以降には検体数も増え、バイオマーカーの検索も同時に行うため、それに予算を回す予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Dystonia and Parkinsonism in COA7-related disorders: expanding the phenotypic spectrum.2024
Author(s)
1.Higuchi Y, Ando M, Kojima F, Yuan J, Hashiguchi A, Yoshimura A, Hiramatsu Y, Nozuma S, Fukumura S, Yahikozawa H, Abe E, Toyoshima I, Sugawara M, Okamoto Y, Matsuura E, Takashima H.
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Journal Title
J Neurol.
Volume: 271
Pages: 419-430
DOI
Peer Reviewed
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