2023 Fiscal Year Research-status Report
頚部リンパ節から脳内浸潤する末梢T細胞のドパミン神経伝達に対する制御機構
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23K07007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
泉尾 直孝 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教 (50722261)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早川 芳弘 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 教授 (10541956)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ドパミン神経伝達 / 薬物依存 / 末梢リンパ球 / 頚部リンパ節 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度の研究により、多発性硬化症治療薬であるグラチラマー酢酸塩の皮下投与がメタンフェタミンによるドパミン神経の過剰興奮に起因する依存様行動を抑制することを明らかにした。そのメカニズムを明らかにするため、グラチラマー酢酸塩の薬理作用に着目し、脳内における免疫細胞について検討したところ、グラチラマー酢酸塩が脳内のT細胞数を増加させることを明らかにした。一方、脳内常在性の免疫細胞であるミクログリアに着目したところ、ミクログリアの総数に変化は認められないものの、オステオポンチン陽性ミクログリアが増加することを明らかにした。 脳内で増加したT細胞が末梢T細胞に由来するかどうかを明らかにするため、脳内リンパ管の起始部に当たる頚部リンパ節を外科的に除去した。すると、グラチラマー酢酸塩による脳内T細胞の増加が抑制された。このことから、グラチラマー酢酸塩は末梢T細胞の頚部リンパ節を介した脳内移行を誘導していることが示唆された。また、同時にオステオポンチン陽性ミクログリアの数の増加も消失したことから、末梢から脳内移行したT細胞がミクログリアの制御に関わっていることが明らかとなった。 まとめると、グラチラマー酢酸塩の投与は末梢T細胞の頚部リンパ節を介した脳内浸潤を誘導し、オステオポンチン陽性ミクログリアの数の増加を誘導し、さらにメタンフェタミン誘導性の薬物依存様行動を抑制した。この背景には、末梢T細胞による脳内ドパミン神経の制御機構が存在すると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺伝子改変マウスを利用して、ドパミン神経伝達と末梢リンパ球の役割を明らかにすることを計画していた。しかしながら、グラチラマー酢酸塩の投与により、末梢リンパ球によるドパミン神経伝達に関連した表現型への作用が認められたため、実験に要する個体数を速やかに確保することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
グラチラマー酢酸塩の投与によるオステオポンチン陽性ミクログリアの増加が認められた脳部位を同定し、ミクログリアを除去した時のメタンフェタミン誘導性の薬物依存様行動にどのような変化が認められるかを明らかにし、T細胞-ミクログリア-ドパミン神経伝達の関係を明らかにする。また、その相互作用を媒介する分子メカニズムを明らかにするため、グラチラマー酢酸塩の投与により誘導される炎症性サイトカインを明らかにする。
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Causes of Carryover |
研究分担者 早川分において、46円の返金が生じた。
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