2023 Fiscal Year Research-status Report
A new paradigm of prepeulse inhibition and its clinical use
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23K07026
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Research Institution | Institute for Developmental Research Aichi Developmental Disability Center |
Principal Investigator |
乾 幸二 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所, 障害システム研究部, 部長 (70262996)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
元村 英史 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (10324534)
杉山 俊介 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 講師 (60755776)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 瞬目反射 / R1 / プレパルス抑制 / ペアパルス抑制 / 筋音図 |
Outline of Annual Research Achievements |
瞬目反射の初期成分(R1)を指標としてプレパルス抑制を観察するパラダイムについて、1)後期驚愕反射成分(R3)のプレパルス抑制との相違、2)プレパルスーテスト間隔の効果、3)年齢および性別の効果、4)記録手法として加速度を用いることは妥当か、等について検討しました。 長潜時(プレパルスーテスト間隔)抑制については、R1とR3のいずれも、最大抑制が120ー140ミリ秒で得られることから、類似の機序によるものと考えられました。この潜時での抑制は、体性感覚刺激誘発R3でも同様の時間経過を示すことから、回路に関わらず共通したメカニズムによるものと推察されました。 R1については特に、短潜時抑制について詳細に検討しました。150ミリ秒以内の検討では、テスト単独に比べてプレパルスによる有意な抑制がが認められたのは、40ミリ秒および80ミリ秒以降でした。つまり、二つの異なる時間スケールの抑制が明らかとなりました。短潜時の抑制頂点については、5ミリ秒と10ミリ秒で顕著な促通があることから、30ミリ秒付近で既に抑制が頂点に達している可能性が考えられました。実際に、促通が顕著でない被験者では、30ミリ秒が最大抑制になる場合があり、20ミリ秒でも抑制されています。年齢・性別の効果も同時に検討しましたが、いずれも抑制率に影響しませんでした。これは、私たちの聴覚誘電位を用いた研究成果とも合致しますが、さらに例数を増やして検討する必要があります。 瞬目反射の記録は加速度計を用いて行いますが、その妥当性を検討するために、R1成分ペアパルス抑制を筋電図と加速度計で同時記録し、相関を調べたところ、非常に高い相関を認めました。加速度計は電気的雑音の影響を受けないことから、良い手法であると考えます。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床応用の準備段階として、刺激および記録の手法をほぼ確立しました。得られる情報として、複数の抑制機序があることを見出し、臨床上の価値はさらに増したと考えられます。筋音図を用いた記録の妥当性については現在投稿中です。複数の抑制機序についてはGABAの関与を考えており、これについても投稿中です。薬物を用いた研究で、間接的には少なくとも一部を明らかにできると考え、現在その準備中です。他の成分(驚愕反射や体性感覚R2成分)との抑制の挙動の異同については論文として発表しました。予備的段階としては、さらに大きなサンプルによる正常値の確立と年齢・性別の効果を確認する必要があります。複数のメカニズムについて検証できる手法が望ましく、誘発脳電位を用いる可能性についても並行して検討しています。これについては、正常値・年齢及び性別のバイアスについてほぼ確立でき、論文に発表しました。
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Strategy for Future Research Activity |
R1成分のプレパルス抑制の機序については、薬物を用いた検討を予定通り行います。主に、GABA受容器に作用する薬物です。遮断薬は用いることができませんし、刺激薬も全身投与になりますから、直接的な証明にはなりませんが、各々の疾患の病態のみならず薬物治療についても関連することであるので、一定の価値はあると考えられます。 パラダイムについては、できるだけ多くの機序についての情報を得られるのが望ましく、R1の短潜時(30-40ミリ秒)、長潜時(100ー140ミリ秒)、聴覚誘発電位の超長潜時(600-700ミリ秒)の同時取得等を検討します。長潜時成分については三叉神経電気刺激が安定していますが、音刺激を加えると相当低強度刺激にすることができ、多感覚の刺激方も検討します。
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Causes of Carryover |
研究は概ね順調に進んでいますが、投稿中の論文が年度内に受理されず、若干の残額が生じてしまいました。当該論文は現在査読後の改訂版を再投稿中で、今年度の早い時期に受理される見込みです。従いまして、今年度の研究は予定通りに行う予定です。
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