2023 Fiscal Year Research-status Report
複雑性解析によるマクロな脳波からのミクロな神経基盤の分類
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23K07032
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
古谷 直生 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (00807977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊藤 夕貴 筑波大学, 医学医療系, 助教 (70732436)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 脳波 / 複雑性解析 / 神経基盤 / 睡眠覚醒 / 光遺伝学 |
Outline of Annual Research Achievements |
睡眠覚醒に関わる神経基盤を調べるため、まずは睡眠覚醒ステージ判定プログラムを作成した。脳波の詳細な複雑性解析を行ったところ、これまで注目されていたデルタ波、シータ波、アルファ波だけでなく、ベータ帯域以上の高周波においても各睡眠覚醒ステージで差異が顕著にみられた。脳波と筋電図におけるこれらの複雑性特徴量と、従来の周波数領域の振幅を用い、ディープニューラルネットワークで学習することで、98%程度の高精度な睡眠覚醒ステージ判定プログラムを開発することができた。また、睡眠構築異常を伴うナルコレプシーモデルマウスであるオレキシンノックアウト(OXKO)マウスの睡眠覚醒ステージを本プログラムで判定したところ、96%以上の高精度で判定できた。先行研究では生データや振幅時系列を用いて時間方向のデータ点を増やすことで判定精度を向上させる方針が一般的であるが、本プログラムでは単一時間点の特徴量だけでも高精度を実現した。これによって、時間方向の情報量を補うほどの有用な情報が複雑性解析で得られることが分かった。このように、既存のプログラムとは異なる新しいアプローチで判定を可能にし、脳波の特徴抽出に用いた詳細な複雑性解析の有用性も証明した。 また、野生型マウスとOXKOマウスの脳波特徴の違いを調べるため、現在OXKOマウスの脳波のサンプル数を増やしている。さらに、オレキシンニューロンの神経操作実験についても条件検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、野生型マウスの脳波計測を完了し、オレキシンノックアウトマウスのサンプル数を増やしている段階である。また、睡眠覚醒ステージ判定プログラムも開発した。今後の実験に合わせてプログラムの改良も行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通り、オレキシンノックアウトマウスの脳波計測を2024年度中に完了し、神経操作中の脳波計測も進めていく。同時に、オレキシンノックアウトマウスやオレキシンニューロンを神経操作したときの脳波特徴を調べる。
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Causes of Carryover |
Covid-19の状況や地震の影響により、学会はオンライン参加にしたことで旅費を使用しなかった。また、当初予定していたメーカーから変更したことで解析用コンピュータの購入費も抑えられた。次年度からは光遺伝学的実験も始まるため、消耗品の購入が増える予定である。
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