2023 Fiscal Year Research-status Report
社会的経験により発達する前頭前野-小脳回路の解明 中脳水道周囲灰白質を中心に
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23K07040
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
芳野 浩樹 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (10347560)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 社会的経験 / 前頭前野 / 錐体細胞 / 興奮性シナプス / 活動電位 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの我々グループの研究結果より、マウスを幼若期に2週間隔離飼育すると(生後21日から35日)生後65日以降の成体になったのちに、内側前頭前野の第五層において、特定の錐体細胞(過分極時にh-currentを生じることで特徴づけられる)への興奮性シナプス入力が低下し、抑制性シナプス入力が増加し、錐体細胞の興奮性も低下することを示してきた。このことより幼若期の社会的刺激が不十分であると発達後に内側前頭前野第五層の特定の錐体細胞の活動性が低下すると解釈できるが、このh-currentで特徴づけられる錐体細胞の特定のサブタイプが元来脳内の神経回路においてどのような機能的役割を持つのかについてはわかっていない。これまでの他研究者の報告で、このh-currentで特徴づけられる錐体細胞が皮質下の脳領域に(視床、線条体、橋など)へ軸索を投射していることが明らかとなっている。各脳領域に逆行性トレーサーを注入して、逆行性に内側前頭前野第5層の錐体細胞を軸索の投射先によって標識し、その細胞への隔離飼育の影響を調べた。橋へ投射する錐体細胞への興奮性シナプス入力の低下が明らかとなり、直近では新たに、橋へ投射する錐体細胞の自発性興奮性後シナプス電流を減少させるテトロドトキシンの効果量が隔離飼育によって低下することがわかった。さらに各脳領域へ軸索を投射する細胞間の興奮性(活動電位反応性)への隔離飼育の効果について検討していく
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現状のデータでの解析などは進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
よりデータを解析し、結果を整えて、学会発表や情報収集しながら、論文投稿へ向かっていきたい。
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Causes of Carryover |
人事異動にて想定していた人員環境が変化し、使用する物品の購入のスケジュールがずれた。今後は、論文投稿に向けた費用に使用していく予定である。
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