2023 Fiscal Year Research-status Report
位相幾何学特徴値を用いた堅固な前立腺強度変調放射線治療法の開発
Project/Area Number |
23K07063
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
田辺 悦章 岡山大学, 保健学域, 准教授 (20716237)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川野 伶緒 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 病院 先端医療開発推進センター, 室長 (00744210)
黒田 昌宏 岡山大学, 保健学域, 教授 (50225306)
石田 隆行 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60309656)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
|
Keywords | 前立腺 / IMRT / 放射線治療 / 堅固 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、前立腺と周囲リスク臓器の動きの要因と関係性について明らかにし、前立腺とリスク臓器の動きに堅固な新しいIMRTの手法を確立することである。 一つ目の検討として、前立腺と周囲臓器の動きの関係性を調べるために、計画CT画像の解剖学的構造と治療期間中のセットアップエラーの中央値と標準偏差、変動係数との相関分析を行った。骨盤骨のサイズと前立腺の動きは相関がなく、皮下脂肪組織の厚さは治療中の左右方向の前立腺の動きの変動係数と弱い相関があることを評価できた。さらに体形の影響を知るために、標準体型と肥満体型の群に分類し、統計予測モデルを構築し評価することで、肥満体型の患者では,前後-左右方向の前立腺移動量と前立腺周囲の脂肪体積に強い相関があることがわかった. 次に前立腺の動きの方向を評価するため、全治療期間における放射線治療前後の各方向(前後,頭尾,左右)と2軸の前立腺移動量の平均値と標準偏差を算出し、相関分析した。治療期間中の前立腺移動量の相関係数は前後-頭尾方向で中程度の相関があった.この結果より前後-頭尾方向の強度を高めることで堅固な治療計画を作成できる可能性があることを示せた。 また、評価画像に対する不確かさを知ることでより正確な治療方法を確立できると考え、画像照合システムのキャリブレーションが照合精度にもたらす影響を評価した。装置ごとの照合精度や中心以外の空間座標のずれなどのシステムの影響を含んだ系統的な照合誤差となることを示すことができた。 今後、これらの研究データをもとに動きのベクトル方向に線量の強弱をつけたリスクの少ない新しい強度変調放射線治療法を開発する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究内容は、研究分担者や大学院生、学部生、地域医療施設と協力し、第51回日本放射線技術学会秋季学術大会と日本放射線腫瘍学会第36回学術大会で合わせて7演題の発表を行い、5本の論文を作成し2本の英語論文が採択された。おおむね計画通りに順調に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進として、治療計画の最適化計算のための各臓器の動きの関係性のリスクを評価するために、機械学習を用いて位相幾何学的特徴値の説明因子を変えたクラスター解析を行い、その結果に従い各臓器の動きのリスクに関する加重係数を求める。倫理審査後の地域医療施設でのデータ収集や解析は地域医療施設担当者と大学院生、学部生と協力して行う。 2023年度の評価できた前立腺の動きに合わせた強度変調放射線治療法の開発を研究分担者や大学院生ともに検討する。
|
Causes of Carryover |
当初計画よりも研究成果をあげることができたため、今年度に予定より早く論文掲載され、掲載費用を要した。また、研究結果を当初計画より早く学会発表した。そのため、これらの費用が当初計画より増えたため、次年度の予算のうち150,000円の予算を前倒しで使用した。採択論文の2本のうち1本は費用が不足していたため、オープンジャーナルを控え機関リポジトリとして公開する予定である。今後も予算に応じてオープンアクセスもしくは、機関リポジトリとする。
|