2023 Fiscal Year Research-status Report
Dual-energy CTの新たな物質識別画像を応用した死後CTの死因診断能向上に関する研究
Project/Area Number |
23K07110
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
福本 航 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (00726870)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
粟井 和夫 広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (30294573)
川下 郁生 広島大学, 医系科学研究科(医), 共同研究講座准教授 (70309657)
檜垣 徹 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (80611334)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | Dual-energy CT / 死後CT / 物質弁別画像 |
Outline of Annual Research Achievements |
死後画像診断は、解剖率の低い我が国において、死因究明のための重要な役割を担っている。しかしながら、造影剤を使用しない死後CTでは、肺動脈血栓症や冠動脈疾患など死因診断が困難な症例も多く、死後CTの死因診断能は40-60%程度と必ずしも高くはない。本研究は、異なる2つのエネルギーのX線で撮影するDual-energy CT (DECT)を応用することで、従来CTでは診断困難であった死因を検出し、死後CTの死因診断能の向上を目的とする。 2023年度は、約130症例の死後DECT症例を収集した。これらのCTデータの物質弁別画像を用いて、血腫や梗塞、血栓が従来CTと比較して検出しやすくなるかどうか検討した。放射線診断医の主観的評価では、物質弁別画像による血腫や梗塞、血栓の検出能の向上は得られなかった。これは、死後CTでは生体での撮影とは異なり、腕を下に下げた状態で撮影が行われるため、特に胸部領域では上肢からのアーチファクトが強くみられており、物質弁別画像のノイズが増加したため、良好な結果が得られなかったものと考察した。また、物質弁別画像のパラメータの調整不足も一因であると考えられた。 ファントム実験としては、胸部ファントムを用いて、内部にボランティアから採取した血液を挿入し、血栓や血腫の検出が従来CTと比較して向上するか否か検討中である。臨床例では、物質弁別画像による血腫や梗塞、血栓の検出能の向上は得られなかったため、ファントムを用いてパラメータの調整を行っている。また、物質弁別画像に加え、DECTを応用した電子密度画像を用いることで血腫や梗塞、血栓の検出能の向上が得られる可能性があるため、これについても検討を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は症例を3年間で300症例収集する予定であったが、既に初年度で130症例症例が行えており、症例収集に関して概ね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度の臨床例の検討では、上肢からのアーチファクトやパラメータの調整不足のため、物質弁別画像による血腫や梗塞、血栓の検出能の向上は得られなかった。2024年度はファントムを用いて物質弁別画像のパラメータの再調整を行う予定である。また、物質弁別画像に加え、DECTを応用した電子密度画像を用いることでも血腫や梗塞、血栓の検出能の向上が得られる可能性があるため、これについても検討を行う。死後DECTの臨床例の収集に関しては、2024年度も継続的に行う。臨床例では両上肢のアーチファクトが強く出る傾向があるため、頸部や下腹部領域など上肢からのアーチファクトの影響の少ない領域を対象として、パラメータ調整を行った物質弁別画像により血腫や梗塞、血栓の検出能の向上が得られるかどうか検討する予定である。
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Causes of Carryover |
当初の予想に反して、臨床例での物質弁別画像による血腫や梗塞、血栓の検出能の向上に難渋しており、学会等で発表することができなった。2024年度はパラメータ等の調整を行う予定であり、良好な解析結果が得られた際には国際学会等で発表する予定である。また、ファントムを用いてパラメータを調整するため、3Dプリンタなどの消耗品にも使用予定である。
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