2023 Fiscal Year Research-status Report
The production study of Auger emitters in platinum group metal for radiotherapy
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23K07123
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
大矢 智幸 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 先進核医学基盤研究部, 研究員 (80531532)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 標的アイソトープ治療 / オージェエミッター / Rh-103m / RIジェネレータ |
Outline of Annual Research Achievements |
ロジウム-103m (103mRh: T1/2 56 min, IT 100%)は103Pdの娘核種であり、またBernhardt et al. (Acta Oncologica 40, 2001)の基準を満たす数少ないオージェセラピー最適治療核種候補の一つでもある。ところで、実際に103mRhを利用する場合、その半減期を考慮するとジェネレータによる製造が現実的である。しかし、103Pd/103mRhジェネレータの開発報告は半世紀ほど前のものが最後であり、そこで使用されたイオン交換樹脂もすでに生産を停止しているため、当時の再現ができない状況となっている。そこで今回、我々は先行報告を基に分類(1型 or 2型)や基本形(ゲル型 or 巨大網目型)が同じものを代替樹脂とし、新たにジェネレータを複数作製し、性能を評価した。具体的には、各陰イオン交換樹脂(IRA410, 904、SA11AL, 20A)3 mLを詰めたカラムに0.1M HCl nca-103Pd溶液をロードしジェネレータを製造した。製品としての103mRhは溶離液0.1M HCl 6 mLを流速0.5 mL/minでカラムへロードすることで回収した。回収した製品に対しては、ゲルマニウムカウンターで収率を、液体シンチレーションカウンターで製品内への103Pdの混入率を計測した。結果は、代替樹脂に96%以上で103Pdが吸着し、ジェネレータの収率は24~38 %, 103Pdの混入率は 0.06~3.5%、製品回収時間は 14 minであった。これは、先行文献で報告されたジェネレータと同等の性能を示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Rh-Bi合金の自動化は合金化条件(ターゲットを粉砕することなく合金化を行う)を見出すのに少々時間がかかると予想されたため、初年度は、それと並行して、103Pd/103mRhジェネレータの開発を優先し研究を進めた。先行文献に基づき選定した複数の陰イオン交換樹脂でジェネレータを作製し、試験したところ、樹脂SA11ALを使用したジェネレータは収率39%を示し、製品液量は 6 mL、103Pd混入率0.29%であった。これは先に報告された性能の高いジェネレータと比して、遜色のない性能であり、先行文献と同等なジェネレータを製造するという当初の目的はおおむね達成された。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は103Pdの分離自動化を進める予定であったが、ジェネレータ開発の途中で、新しい構造のジェネレータ(以下、新型ジェネレータと記述)を考案した。新型ジェネレータでは製品への103Pd混入率が若干(3倍程度)高くなるが、品質的には許容範囲内である。一方で、従来型と比して、収率は1.5倍以上、回収時間と回収液量が1/10以下であるため、103Pdの漏出率増加による出力のマイナス分を補って余りある性能を示した(特許出願済み)。しかし、まだ試験段階にとどまっているため、高放射能にした場合(放射線分解)や、補助剤(収率をさらに上げられる可能性をもつ薬剤)の影響などについて詳細な試験を進めてゆく予定である。
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Causes of Carryover |
急遽、想定外の試薬が必要になった時の購入用と、論文校正費が当初予定していた金額よりも低かったため差額が生じた。それらは次年度の試薬購入費として使用する予定である。
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