2023 Fiscal Year Research-status Report
臨床MR画像に対するSNR評価の新機軸:すべての撮像法に適用可能な統一的解析法の樹立
Project/Area Number |
23K07132
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山田 幸子 大阪大学, 医学部附属病院, 診療放射線技師 (40623054)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上口 貴志 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所脳情報通信融合研究センター, 研究マネージャー (80403070)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | MR / SNR / ノイズ / 画質評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
MR画像において信号ノイズ比は画質を客観的、定量的に評価できる最も基本的かつ重要な指標であり、日常診療における撮像法の最適化や臨床研究における画質の定量評価に広く用いられてきた。しかし近年ではパラレルイメージングに代表される高速撮像法の浸透に伴い、ノイズの空間分布の空間的均一性が保たれなくなったために、精度のよいSNR評価が困難となっている。すなわち、SNRとは任意の空間的関心領域における信号強度の平均値とその標準偏差の比をいうが、関心領域内に存在する被写体の構造による信号の変動と真のノイズとの分離が難しく、またノイズの空間的均一性が保たれないために被写体のない領域での信号の標準偏差をノイズとみなすこともできないため、現時点ではノイズは原理的に必ず大幅に過大評価され、したがってSNRは必ず大幅に過小評価される。本研究はこの問題の解決を目指す。今年度はこの問題に取り組むための大まかな戦略を練ることに注力し、その方法論の検討を行ってきた。さらにファントムなど、生理的ノイズの存在しない非生体を対象に種々のSNRの条件で画像を取得し、その際にノイズの空間的均一性を意図的に変化させ、得られた画像からSNRを推定するための理論構築を行った。その結果、ノイズを含む原画像から画像解析により構造成分の方を推定・除去し、そののちにノイズの定量を行うこととした。さらに別な観点からの方策として、生理的ノイズが存在する生体から得られた高速撮像連続画像から画像差分による構造除去を行い、さらにそこに混入する生理的ノイズを統計的手法を用いて除去することで正味のノイズ成分の定量を行うこととした。これらの結果、理論的なSNRの変動に強い相関をもつSNR測定値が得られたため、現在の方針で引き続き、ファントム画像と被験者画像に対する詳細な検討を進めてもよいという具体的な方針が立っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初より、初年度は理論面での検討を行うこととしており、おおむねその計画に沿って研究を実施できている。
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Strategy for Future Research Activity |
問題なく研究を実施できており、今後も当初の研究計画に沿って研究を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
画像解析・評価に必要な2台の計算機のうち1台は次年度の研究の進捗を見てから仕様等を検討することとし、その分の調達を次年度に送った。またファントム等の調達も現在の理論面での検討をもう少し進めてから行うこととし、同様に次年度に送った。これらの理由により次年度使用額が生じたが、研究自体は順著であり、次年度に使用予定である。
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