2023 Fiscal Year Research-status Report
放射線性う蝕から歯を守る~頭頸部がんサバイバーのQOL向上のための基礎研究~
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23K07156
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松崎 久美子 (田中久美子) 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (50550802)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉山 昌宏 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 特命教授 (10201071)
島田 康史 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (60282761)
青山 英樹 岡山大学, 大学病院, 副診療放射線技師長 (60769264)
松崎 秀信 岡山大学, 大学病院, 助教 (70325124)
吉尾 浩太郎 岡山大学, 医歯薬学域, 講師 (70623297)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 放射線性う蝕 / 象牙質脱灰抑制 |
Outline of Annual Research Achievements |
放射線性う蝕は、頭頸部がん放射線治療後の晩期有害事象のひとつである。これまでの臨床経験から、放射線性う蝕は、咬耗によって露出した咬合面のエナメル象牙境周囲や、歯周炎などで歯肉退縮して露出した歯頸部のエナメル象牙境周囲に多発することが分かっている。2023年度は、放射線照射後のヒト抜去歯のエナメル象牙境付近の歯の元素分析を行うことで、放射線が歯に直接及ぼす影響について検討した。咬耗を想定して咬合面の一部を除去し、歯肉退縮を想定して歯根膜を除去することで、それぞれの歯に咬合面と歯頸部のエナメル象牙境を露出させた。照射には岡山大学病院の放射線治療装置を使用し、1回10Gyで7回照射した。エネルギー分散型X線分光法を用いて、①咬合面エナメル象牙境付近、②歯頸部エナメル象牙境付近について、Ca、P、C、O、Na、Clの元素を定量分析した。また、各エリアにおけるCa/P比、C/Ca比、C/P比を算出した。その結果、Ca/P比は、①、②とも照射の有無で有意差を認めなかった。C/Ca比、C/P比ともに、①では照射有群は照射無群より大きな値を示した。②のC/Ca比とC/P比は、一部のエリアでは照射の有無で差を認めなかったが、その他のエリアでは照射有群で大きな値を示した。今回の検討では、放射線(X線)によってハイドロキシアパタイトの構造が直接破壊されている可能性については否定的な結果であった。照射によるアパタイトの結晶性の低下と、それに伴う有機成分の比率の増加が、う蝕に罹患、進行しやすい環境を作り出している可能性が示唆された。(2023年12月、日本がん口腔支持療法学会で発表)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
放射線を照射した歯の元素分析を行った。当初の予定では、照射後のCa/P比は照射無群と比較して低い値を示すと仮説を立てていたが、照射有、無でCa/P比は変わりなかった。一方で、放射線照射後の試料は、有機成分に対してミネラル成分の比率が少ないことが示された。この結果を踏まえ、歯質強化として、当初の市販の知覚過敏抑制剤の応用に加え、ミネラルを豊富に含む市販の口腔ケア製品も応用する予定である。また、当初の予定では、放射線照射群の試料を多く作製する計画であったが、放射線照射装置の一部が、更新のために使用できなかった。そのため、放射線照射無群の試料を優先的に作製した。全体の進捗状況としてはおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
放射線照射有、無の歯の性状を評価するために、走査電子顕微鏡とその付属のエックス線元素分析装置を用いて、エネルギー分散型X線分光法で歯の元素分析を行う手法が有効であった。そのため、今後もこの手法を継続する。当初の予定では、放射線照射後の歯を強化するために、市販の象牙質知覚過敏症用の薬剤を応用する計画を立てていた。2023年度の結果を踏まえ、当初の計画に加え、カルシウムやリンを豊富に含む市販の口腔ケア製品も応用する。
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Causes of Carryover |
本研究では、主に、試料が放射線照射有群と照射無群に分かれる。2023年度は、岡山大学病院の放射線治療用装置の更新に伴い、リニアック2台のうち、1台が使用できない時期があった。そのため、放射線治療用装置の使用を最小限に留めた。結果、使用額を抑えることにつながった。今年度以降、2台が使用できる環境に戻るため、放射線照射群の試料の作製、処理、検証に費用を充てる予定である。
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Research Products
(4 results)