2023 Fiscal Year Research-status Report
活性酸素種を標的とした抗がん剤誘発性臓器障害の早期画像診断法の開発
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23K07166
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Research Institution | Showa Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
宿里 充穗 昭和薬科大学, 薬学部, 講師 (20525571)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 抗がん剤 / ROS / イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
ドキソルビシンをはじめとするアントラサイクリン系薬剤は、さまざまながんの治療に用いられているが、累積投与量に依存して発症する心筋症等、心毒性のリスクが高く、治療継続の制限になることが知られている。本研究では、ドキソルビシンによるこれら副作用の発現に酸化ストレスが関与するとの仮説に着目し、活性酸素種(ROS)のイメージングによる抗がん剤誘発性臓器障害の早期診断法の確立を目指すこととした。 2023年度は、ドキソルビシンを腹腔内投与したマウスを対象に、ジヒドロエチジウムを用いたROSのex vivo 蛍光イメージング実験を実施した。その結果、一部の臓器において、ドキソルビシン処置後早期の段階でROS蛍光信号の増加が示された。ここで得られたROSの産生量増加の経時変化に関する結果を踏まえ、2024年度には、ドキソルビシン誘発の臓器障害の発現と進行におけるROSの関与をさらに明らかにし、ROSが臓器障害の先行指標となり得るか否かについてさらに評価を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、研究開始時の研究計画に掲げた項目のうち、①ドキシルビシン誘発性臓器障害レベルとROS過剰発生量の相関関係の検証に着手し、ドキソルビシン処置後の各臓器におけるROS産生量の経時変化を明らかにすることができた。このように、当初の目的に向けて着実に研究を進展させることができたものと評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度の研究実績を踏まえ、当初の計画に掲げた②抗酸化剤によるドキシルビシン誘発性臓器障害の治療効果の有無の検証 を実行する。本実験を通じて、ドキソルビシン誘発性臓器障害の発生、進行におけるROSの関与および働きを明らかにし、臓器障害の指標としてのROSの意義について考察する予定である。
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Causes of Carryover |
ジヒドロエチジウムを用いたROSのイメージング実験に関して、研究代表者らは、これまでに末梢臓器、特に非特異的集積が高い腎臓や肝臓では経験がなかったため、適切な実験条件の確立に動物や試薬購入の費用を要すると予測していたが、実験が順調に進んだため、当初の計画よりも実験回数を低減することができ、次年度使用額が生じた。一方、PET撮像実験に向けては、検討すべき課題が残されているため、それらの検討に使用する計画である。
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