2023 Fiscal Year Research-status Report
MRIによる肝細胞機能の推定:肝細胞信号の選択的検出法の開発とその臨床応用
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23K07180
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中村 優子 広島大学, 医系科学研究科(医), 准教授 (40598984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
粟井 和夫 広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (30294573)
檜垣 徹 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (80611334)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ガドキセト酸ナトリウム / MRI / 肝細胞機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝障害の進行は肝機能の悪化に伴う肝不全や原発性肝細胞癌の発生といった致命的な病態につながるため、肝障害の程度を正確に診断し早期に治療介入する必要がある。肝障害の評価のgold standardは針生検による病理学的診断であるが、針生検はときに腹腔内出血等の致死的な合併症を生じることがある。また肝障害は全肝で不均一に発生するが、針生検はごく一部の肝組織のみの評価しか出来ない。肝細胞特異性MRI造影剤であるガドキセト酸ナトリウム(Gd-EOB-DTPA: EOB)は肝細胞と非肝細胞(腫瘍性病変)を高精度に鑑別することができ、臨床で広く普及している。EOBは肝細胞機能に応じて肝細胞に取り込まれると考えられ、EOB造影MRIによる肝障害の程度(肝機能)の非侵襲的な評価が期待されるが、EOB造影MRIにおける肝実質の造影効果と肝機能は完全には一致しない。その原因として、申請者はEOBが肝細胞内のみならず、肝細胞外にも分布するためではないかとの仮説を立て、肝細胞外に存在するEOBの信号をMotion-sensitized driven equilibrium (MSDE)で抑制し、肝細胞内に分布するEOBの信号のみを選択的に捉えることが可能な撮像法を開発、その有用性を検討することを目的とし、本研究を開始した。2023年度は研究協力者である西原崇氏の協力のもと提案撮像法の開発、最適化を行い、本撮像方法について論文発表を行った(Nishihara T, et al. Magn Reson Med Sci 2024 Epub ahead of print)。また本撮像法の臨床検討も開始し、第109回北米放射線学会(2023年11月26-30日、開催地シカゴ)にて初期経験として口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述のごとく、提案手法の確立は終了し、臨床的有用性に着手できており、順調に本研究を進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
EOB造影MRIにおける肝造影効果と肝機能が一致しないことが提案手法開発の大きなきっかけとなっているため、今後は提案手法を用いることでEOB造影MRIで肝機能をより正確に評価ができるかの検討をすすめていく。またEOB造影MRI検査は検査時間が比較的長いが、肝細胞のみの造影効果を反映する提案手法は従来法と比較し腫瘍-非腫瘍間のコントラスト増強により撮像時間を短縮できる可能性もあるため、この点についてもあわせて検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
昨今の円安傾向に伴い、海外学会出張費用が予想以上の出費となることが予測されたため、備品などの購入をできるかぎり見送ったところ、次年度使用額が若干生じることとなった。次年度は、円安傾向はおそらく続くと思われるが、状況を見ながら本年度購入できなかった備品購入を検討していく予定である。
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