2023 Fiscal Year Research-status Report
放射線損傷をタウリンが緩和するシグナル伝達経路解明とがん治療有害事象緩和への応用
Project/Area Number |
23K07217
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
山下 剛範 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 准教授 (10410937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有馬 寧 鈴鹿医療科学大学, 医療科学研究科, 教授 (30263015)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | タウリン / 放射線損傷緩和 / タウリントランスポーター |
Outline of Annual Research Achievements |
放射線曝露による細胞損傷をタウリンが緩和するシグナル伝達経路を解明することは、新たな創薬開発につながることから非常に重要である。本研究の目的は、ヒトへの放射線被ばく影響ならびにがん治療による有害事象の緩和にタウリンを応用するための研究基盤を確立することである。TGF-βよって媒介されるシグナル伝達は、臓器線維症や癌などの疾患の進行プロセスに不可欠な経路の1つでることが知られている。肺がんの放射線治療では肺繊維症など放射線誘発性肺障害の発生が問題となっており、放射線曝露による正常組織の損傷を低減することができる安全で有効な創薬の開発が急務である。 令和5年度は、「タウリンが放射線誘発性肺障害の緩和をもたらす機構」を明らかにすべく、胸部放射線曝露モデルマウスを用いて病理組織学的分析を行った。 実験群は非照射群、照射群、照射後タウリン投与群とした。放射線曝露後の肺臓炎、肺繊維化の程度を病理組織学的手法により比較解析した。その結果、照射群は、肺臓炎が増加した。しかし照射後タウリン投与群は肺臓炎の程度が減少していた。また照射群に比較し、照射後タウリン投与群は肺繊維化が減少することを見出した。本研究から、放射線曝露による細胞損傷をタウリンが緩和する機構にはTGF-βよって媒介されるシグナル伝達が関与する可能性が示唆された。この研究結果は令和6年3月2日に開催された第10回国際タウリン研究会にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TGF-βよって媒介されるシグナル伝達は、臓器線維症や癌などの疾患の進行プロセススに不可欠な経路の1つでることが知られている。今回の研究成果より放射線曝露による細胞損傷をタウリンが緩和する機構にはTGF-βよって媒介されるシグナル伝達が関連する可能性が示唆された。現在、HMGB1 / TLR4 経路について解析準備を進めており順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
放射線曝露による細胞損傷は、①HMGB1 / TLR4 経路、②TGF-β/ Smad 経路を含む複数のシグナル伝達経路によって媒介されるが、放射線曝露後のタウリン投与が ①②のシグナル伝達経路にどのような変化をもたらすのかについては未だ明らかではない。 そこで、本年度は放射線曝露による細胞損傷をタウリンが緩和するHMGB1 / TLR4 経路を組織学的に解析に解析し、放射線曝露による細胞損傷をタウリンが緩和するシグナル伝達経路を解明する予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定した研究は順調に進んでいる。本年度計画していた抗体試薬や測定器キットの購入は、サンプルの採取が整う次年度に実施する予定であり、見込みよりも購入が低下し、次年度使用額が生じた。 次年度は、予定した計画に従い、研究に必要な抗体試薬、測定器キットを購入する予定である。
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Research Products
(10 results)