2023 Fiscal Year Research-status Report
難治性神経芽腫の分子データベースの構築と小児がん個別化医療への応用
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23K07239
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Research Institution | Research Institute for Clinical Oncology Saitama Cancer Center |
Principal Investigator |
大平 美紀 地方独立行政法人埼玉県立病院機構埼玉県立がんセンター(臨床腫瘍研究所), 臨床腫瘍研究所, 主幹 (20311384)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 神経芽腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
小児の代表的な固形腫瘍である神経芽腫(年間発症約150例)は、しばしば自然退縮がみられる予後良好なタイプがある一方で、全症例の約半数を占める4期症例の生存率は未だ40%程度と非常に難治性である。本研究では、このような多様な臨床像を示す神経芽腫サブセットの分子背景を複数のオミックスデータから明らかにし、それぞれについて最適な治療戦略をたてることを目的とする。特に、最近の研究から明らかになってきたテロメア維持機構の異常が関わるサブタイプについては、難治性腫瘍群の半数以上を占めることがわかってきたが、関与する遺伝子群や悪性化機構について未だ不明な部分も多いため、これらの腫瘍群を中心に解析を進める。これまでに全エクソーム解析を行った神経芽腫187例について、テロメア維持機構異常の有無を検索した。Alternative Lengthening of Telomere (ALT)陽性群の抽出はC-circleアッセイ法を用いた。これまでに52例のALT陽性群が見出され、さらに解析を進行中である。従来の報告の通り、ALT陽性群はすべてMYCN非増幅例であった。今後は初発時検体ー再発時検体ペアの解析を加え、臨床予後情報、病理診断情報、遺伝子変異プロファイルと比較し、ALT陽性例の分子的特徴を抽出する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、全エクソーム解析を行った187例の高ステージ神経芽腫のC-circleアッセイをほぼ完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は初発時検体ー再発時検体ペアの解析を加え、臨床予後情報、病理診断情報、遺伝子変異プロファイルと比較し、ALT陽性例の分子的特徴を抽出する。テロメア維持機構異常プロファイルにATRX, DAXXなどALT関連遺伝子の変異情報を追加する。これらの情報を、遺伝子発現プロファイルと共にクラスタリングし比較検討することにより、腫瘍サブタイプに関連するプロファイルを抽出する。
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Causes of Carryover |
2024年度-2025年度に国際学会での成果発表を予定しているため2023年度は必要最小限の消耗品のみとし、ドライ解析を中心に実施した。
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