2023 Fiscal Year Research-status Report
小児・発達期の脳白質障害を標的とする知的障害/発達障害の機序解明と新規治療法開発
Project/Area Number |
23K07240
|
Research Institution | Institute for Developmental Research Aichi Developmental Disability Center |
Principal Investigator |
稲村 直子 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所, 細胞病態研究部, 主任研究員 (20397623)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | オリゴデンドロサイト / ミエリン / マイクロRNA / ライソゾーム病 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳白質障害を伴うライソゾーム病のモデルマウスとしてNPC1koマウスとtwitcherマウス(KDモデルマウス)を用い、研究を行っている。今年度はNPC1koマウスを中心とする疾患マウス培養OL(オリゴデンドロサイト)でのライソゾーム修復機構の動態と、脳内でのマイクロ RNAの発現の検討を行った。NPC1koマウスOLでのライソゾーム修復機構の動態については、NPC1koマウスOLでは野生型マウスOLに比べライソゾームのダメージを認識するgalectin-3の発現が上昇することに対してライソゾームの新生に関わるTFEBとオートファゴソームのマーカーであるLC-3の発現が減少していた。このことはNPC1koマウスOLではライソゾームのダメージが進むがライソゾームの新生やオートファジーが亢進していないことを示唆している。このようなgalectin-3の発現上昇は別のライソゾーム病であるtwitcherマウスOLでも観察された。今後はマウス脳内で同様のことが起きているか、またマイクロ RNAによりライソゾームのダメージや修復機構が改善されるかどうか調べる。脳内でのマイクロRNAの発現に対しては、AAVベクターを用い脳内のOL特異的に25-30%発現することができる投与条件を決定した。今後NPC1koマウス脳内にマイクロRNAを発現させ、NPC1koマウス脳内でMBP陽性細胞が増加するか調べる。 また、twitcherマウスOLに対するマイクロRNAの効果を模倣する薬剤を探査し、ミエリン促進剤として知られるクレマスチンとSob-AM2の効果を比較しMolecular Genetics and Metabolism誌に成果を公表した。クレマスチンとSob-AM2はどちらもマイクロRNAの発現を介しtwitcherマウスOLの異常な分化成熟を改善する効果はあるが、効果の程度やメカニズムは異なることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NPC1koマウスOLでのライソゾーム修復機構の抑制を明らかにしたこと、また脳内OL特異的に効率的に発現するウイルスベクターの投与条件を確定したことで、疾患モデルマウスのOL並びに脳でのマイクロRNA発現による効果について研究を進めることが出来るため。またマイクロRNAの効果を模倣する薬剤としてtwitcherマウスOLにおけるミエリン促進剤の効果を論文にまとめたから。
|
Strategy for Future Research Activity |
NPC1koマウスOLではマイクロRNA発現によりライソゾーム修復機構が亢進されるか調べる。またNPC1koマウス脳組織内でもライソゾーム修復機構が抑えられているか染色で調べる。さらにNPC1koマウスのみならず他のライソゾーム病でも同様であるかtwitcherマウスOLでのgalectin-3、TFEBやLC-2の発現とマイクロRNAによる効果を調べる。さらにNPC1koマウス脳内でのマイクロRNA発現したときのOLの分化成熟やライソゾーム修復が回復しているか明らかにする。
|
Causes of Carryover |
NPC1koマウスやtwitcherマウスOLでのマイクロRNAによるライソゾーム修復機構を解析するための試薬や抗体の購入、マウス脳内でマイクロRNAを発現するためのウイルス作製の試薬、発現後の解析のための抗体に使用する。
|