2023 Fiscal Year Research-status Report
網羅的エピゲノム解析とゲノム編集技術を用いた肝芽腫の新規治療候補遺伝子の同定
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23K07245
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
工藤 渉 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (10928047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菱木 知郎 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (00375776)
金田 篤志 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (10313024)
星居 孝之 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (20464042)
岡部 篤史 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (80778118)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 肝芽腫 / エピゲノム / 転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、肝芽腫細胞の生存・増殖に重要な転写因子を同定し、その転写因子が司るエピゲノム制御および標的遺伝子の解明および新規治療薬候補の創出へと繋げることを目的としている。肝芽腫細胞株であるHUH6、HepG2に対するヒストン修飾解析により抽出した候補転写因子を対象に、臨床検体の遺伝子発現データや細胞株の公共データ(Depmap)を解析しさらなる絞り込みを行った。結果、肝芽腫細胞の生存増殖に重要で、肝芽腫の臨床検体において発現上昇が認められた2つの転写因子を同定した。2つの転写因子に対してそれぞれ4つずつsgRNAを作成した。それぞれの転写因子をHepG2でノックアウトし、有意な細胞増殖抑制を確認した。HUH6ではCRISPR-Cas9システムがワークしなかったため、siRNAにより遺伝子ノックダウンを行い、細胞増殖抑制を確認した。より細胞増殖に重要である転写因子Xについて、遺伝子ノックアウトとコントロールサンプルでRNA-seqを行った。転写因子Xのノックアウトにより発現低下した遺伝子はCell cycleやMetabolismのパスウェイがエンリッチしていた。転写因子Xの発現制御を調べるため、CTNNB1遺伝子のノックアウトをHepG2、ノックダウンをHepG2、HUH6で行ったが、転写因子Xの発現は低下しなかった。肝芽腫の臨床検体における網羅的DNAメチル化解析と遺伝子発現の公共データを再解析した所、転写因子Xの発現はプロモーター領域のDNAメチル化に制御されている可能性が示唆された。HepG2、HUH6において網羅的DNAメチル化解析(Infinium Methylation EPIC)を行った所、転写因子Xのプロモーター領域は脱メチル化されていることが確認された。転写因子Xはβ-Cateninの発現とは独立した因子であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は予定通り候補転写因子から真の候補となる転写因子を同定できた。また、遺伝子発現解析データ、ヒストン修飾解析データ、DNAメチル化解析データなど、解析の基礎となる網羅的解析のデータが問題無く取得できた。候補転写因子Xに対して、CRISPR-Cas9システムによる遺伝子ノックアウトおよびsiRNAによる遺伝子ノックダウンなどによる発現制御に関しても肝芽腫細胞株で確立できた。
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Strategy for Future Research Activity |
転写因子Xについてクロマチン免疫沈降法を用いてDNA結合領域のゲノムワイドな解析を行い、真の制御遺伝子について解析を行う。また、転写因子Xの下流遺伝子について、治療候補となる遺伝子の探索を行う。
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Research Products
(2 results)