2023 Fiscal Year Research-status Report
先天性小頭症に対する遺伝子治療に向けた疾患原因遺伝子の探索
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23K07282
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
岩渕 千里 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 研究所, 疾患ゲノム研究部 研究員 (20514441)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 小頭症 / 全エクソーム解析 / バリアント / 遺伝子治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、胎生期から小児期に発症する稀少単一遺伝子疾患の血液検体を中心に網羅的ゲノム解析を行い、新規疾患原因遺伝子の同定とその病態解明および遺伝子治療を目的として研究を行なっている。 今年度は国内外の研究協力施設から200を超える検体が届き、順次全エクソーム解析を委託し、遺伝形式に沿った分類を行い、病的バリアントの評価を5つの項目に分けて行なった。今年度の解析では2つの新規バリアントを同定した。1つ目のバリアントは小脳低形成症の原因遺伝子として報告されているが、これまでに報告の無い場所での病的バリアントであった。2つ目のバリアントは神経発達障害の原因遺伝子として報告されているバリアントであったが、こちらも新規の病的バリアントであった。現在これらのバリアントの機能解析を行うべく、標的遺伝子の発現ベクターを作製し、HEK293T、Hela細胞への遺伝子導入を行ない、発現変化・分布変化を評価している。 また、先行して機能解析を行なっている兄弟例の先天性小頭症の原因遺伝子の機能解析において、モデルマウスの作製を開始した。モデルマウスの作製にはCRISPR/CAS9 systemを使用して行なった。当初、KI-homoマウスを作製しようと試みていたが、胎生致死となってしまうことが判明し、KI-homoマウスの取得は出来なかった。そこでCRISPR/CAS9の条件を変更して行なったところKI-heteroマウスを取得することに成功した。現在、このマウスを交配し、自然交配でのKI-homoマウスの取得を試みている。また、こちらのモデルマウスを用いた遺伝子治療実験にむけて、原因遺伝子をAdeno-Associates Virus 2 (AAV2)発現ベクターに組み込む作業を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度から作製予定に組み込んでいたモデルマウスの作製が当初の計画よりも遅れている。理由はKI-homoを作製する予定であったが、胎生致死となってしまうためである。KI-heteroの個体が得られるまでも条件変更などの時間を費やした。その他の血液検体から全エクソーム解析を行う計画や細胞を用いた機能解析についてはおおむね予定通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、今年度同定した新規の病的バリアント2種についての細胞レベルでの機能解析を進める。現在、目的のバリアントを持つベクターの作製は終了したため、そのベクターを用いて野生型とバリアントでの発現量・分布パターンの変化などを捉える。そしてそのデータをまとめて論文として報告する。 次に、先行して解析を行なっている兄弟例の小頭症の原因遺伝子の解析について行う。現在、患者由来の不死化リンパ芽球様細胞を使った原因遺伝子の免疫染色や発現量を確認している。また、患者由来の細胞では増殖速度が遅いことから細胞周期に何らかの変化があると考え、細胞周期関連のタンパク質および遺伝子の発現変化などを解析する予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画当初はエクソーム解析を委託する経費として計上していたが、今年度は別経費にてエクソーム解析を委託する運びとなったため差額が生じた。次年度では、細胞レベルでの機能解析を行う業務が増えるため今年度よりも消耗品の使用量が増える見込みである。
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