2023 Fiscal Year Research-status Report
Molecular analysis of congenital malformations complicated by genomic rearrangements
Project/Area Number |
23K07283
|
Research Institution | Kanagawa Children's Medical Center (Clinical Research Institute) |
Principal Investigator |
黒澤 健司 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 臨床研究所長 (20277031)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | ゲノム / 先天異常 / マイクロアレイ染色体解析 / copy number variant / FISH |
Outline of Annual Research Achievements |
全ゲノム解析研究の発展によりバリアントと疾患発症の意義付けは明らかにされつつあるが、ゲノム再構成(コピー数変異(CNV)や逆位・挿入など)とヒトの複雑な形質(臨床症状)との関連性は十分解明されていない。本研究では、多臓器にわたる症状をもつヒト先天異常症例を手掛かりに、ゲノム再構成と複雑な病態との関連性を明らかにすることを目的としている。初年度では、マイクロアレイ染色体解析スクリーニング約1000例で未解決となった症例について分子細胞遺伝学的手法を用いて再評価を行った。軽度の発達遅滞を呈し6p22.3領域0.9Mb重複を新生突然変異として認めた症例について新たに検討を加えた。BAC cloneを用いたFISH解析および定量PCR解析により、重複は二重複ではなく三重複(triplication)であることを確認した。重複領域には6つのタンパクコード遺伝子が存在し、DECIPHERデータベースによるとtriplicationによりほぼ同様の症状を呈する症例が登録されていることが確認できた。ただし、この領域の重複はgold standard variantとして登録され、アレル頻度は0.03%ないしは0.11%とされている。この6つの遺伝子のうちp.LIが1.0を有す遺伝子はいずれもp.Triploは0.55-0.6と低い。しかし、浸透率の低いCNVあるいはtriplicationとしての影響を考慮して病的意義を再検討する必要がある。今回の解析により詳細解析とデータベース症例との比較により新しい疾患遺伝子の検出の可能性を示唆する所見を得ることができた。今後、同様症例の検出を視野に入れ報告準備を進める。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに報告のない疾患関連CNVを検出することができ、その発症メカニズムについて検討することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
染色体ゲノムの微細構造がもたらす先天異常発症の機構を明らかにするために、さらに詳細スクリーニングを進めてゆく。同様症例の検索、および同様症例との症状比較、当該領域の遺伝子発現の状況と臨床症状との相関を検討する。
|