2023 Fiscal Year Research-status Report
細胞分裂制御遺伝子の新規機能と病態形成メカニズムの解明
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23K07284
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Research Institution | Institute for Developmental Research Aichi Developmental Disability Center |
Principal Investigator |
浜田 奈々子 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所, 分子病態研究部, 主任研究員 (70721835)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | Cep152 |
Outline of Annual Research Achievements |
CEP152は遺伝性小頭症およびSeckel症候群の原因遺伝子であり、細胞分裂に先立って起こる中心体複製に必須の役割を担う。本研究では小頭症/Seckel症候群患者の全エクソーム解析から同定されたCEP152の新規の機能喪失型変異を有するモデルマウスと、相互作用分子との結合領域にミスセンス変異を有するモデルマウスを用いて、Cep152が分裂後の神経細胞の発達に及ぼす影響について解析を行う。本年度は相互作用分子PLK4との結合領域にミスセンス変異を有するノックインマウスをiGONAD法を用いて作成した。作成したノックインホモマウスは、野生型と比較して出生時にすでに体が小さく、矮小発育であった。同様に脳も小さく、特に大脳、小脳は他の部位に比して小さかった。また、側脳室拡大など患者と一致する表現型が観察された。免疫沈降を行ったところ、患者から見出された変異蛋白質K897*は、PLK4との結合能は保たれていたが、Q32Pは、野生型と比較して結合能が減弱していた。一方でQ32Pは野生型と同様中心体に局在したが、K897*は細胞質に局在した。電気生理学的解析を行い、機能喪失型モデルマウスでは大脳皮質II-III層の興奮性神経細胞において興奮性シナプス後電位(EPSC)の頻度が野生型マウスと比較して上昇していた。また同様に活動電位の頻度も上昇していたことから、神経細胞は興奮しやすい状態になっていることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ノックインマウスの作成が完了し、解析を開始できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
分裂後の神経細胞の発達に焦点を絞った組織解析、電気生理学的解析に的を絞って解析を行う。具体的にはゴルジ染色による形態解析、免疫組織解析、子宮内胎仔脳遺伝子導入法を用いた神経細胞移動の評価を行う。電気生理学的解析では抑制性シナプス後電位(IPSC)、また新しく作成したノックインマウスも機能喪失型マウスと同様の解析を行なう。
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Causes of Carryover |
今年度はマウスの作成が中心だった為、助成金の使用が少なく抑えられた。次年度は組織解析をするため、染色キットや各種抗体の購入、確率したマウスの維持費に使用する予定。
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