2023 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of the function of the long non-coding RNA PVT1 in Down syndrome-associated leukemia.
Project/Area Number |
23K07285
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
金崎 里香 弘前大学, 医学研究科, 助教 (60722882)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 白血病 |
Outline of Annual Research Achievements |
ダウン症新生児の約10%は、未熟な巨核球が一過性に増殖する血液疾患(TAM)を発症する。このうち約20%もの症例が、巨核芽球性白血病 (ML-DS)へと進展する。しかしながら、どのようなTAM症例がML-DSに移行するかを予測することは現在のところ困難であり、ML-DSの発症を予防することができない状況にある。本研究の目的は、TAMからML-DSへの移行の予防と予後の改善を目指し、ML-DS発症の分子機構を明らかにすることである。 申請者らは、ML-DSにおいて、長鎖非コードRNA(lncRNA)であるPVT1が、TAMよりも有意に高発現していることを見出している。ガン遺伝子と言われるPVT1だが、ML-DSでは、今までに報告された多くのガン種よりも3'側の新規エクソンから転写開始するタイプが多いことに加え、いくつかのエクソンをスキップしていることもあり、これまで報告されてきたPVT1とは異なる機能を有している可能性がある。そこで本研究は、PVT1がML-DS発症に関与するとの仮説のもと検証を行い、ML-DSにおけるPVT1の機能を明らかにすることを目指している。 今年度は、ショートリードのRNA-seqデータとロングリードのRNA-seqデータから、ML-DS検体におけるPVT1の主要な転写産物を同定した。また、3つのML-DS細胞株について、細胞質と核を分離した上でPVT1 RNAの定量を実施したところ、PVT1は特に核局在している様子はなかった。PVT1は、ML-DSにおいてmicroRNAのスポンジとして働くなどの何らかの機能を、細胞質で果たしていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度中にML-DSにおけるPVT1転写産物の全体像を明らかにしたいと考えていたが、ポリAを持たないPVT1 RNAの確認がまだ不十分と思われるため。PVT1にはポリAを持たない環状RNA(circPVT1)があると報告されており、実際のところ、ポリAでmRNAを精製しない場合のML-DS細胞株のRNA-seqで、その存在を示唆する結果を得ている。更なる解析が必要と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
ML-DSにおけるcircPVT1の存在を検討する。また、PVT1が細胞増殖や生存の制御に関わっているかどうかを明らかにするため、ML-DS由来細胞株でPVT1の過剰発現系実験やノックダウン実験を実施する。
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Causes of Carryover |
細胞培養液を購入予定であったが、予想通りの実験結果が得られずに購入を延期することとなったため。
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