2023 Fiscal Year Research-status Report
小児AYA世代の白血病治療に対するヒストン脱メチル化阻害薬治療の実装化を目指す
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23K07295
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
後藤 洋徳 大分大学, 医学部, 医員 (70727966)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末延 聡一 大分大学, 医学部, 教授 (30253785)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | H3K27me3 / AML / 小児 / 脱メチル化阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、小児・AYA世代のAMLにおけるヒストン修飾であるH3K27me3に着目し、副作用の少ない、全く新しい治療戦略を提唱できるかという問いに対して、白血病細胞株に対し、H3K27me3脱メチル化阻害剤を投与することで、H3K27me3状態を低メチル化状態から高メチル化状態へと変化させる。その結果として生じた遺伝子発現の変化、薬剤感受性の変化を明らかにすることで、最終的には、脱メチル化阻害剤を用いた白血病治療の可能性を探索することを目的としている。 本年度は、AMLの細胞株を用いて、H3K27me3の基礎レベルでのヒストンメチル化状態の評価を行い、AML細胞株において、H3K27me3が低下した細胞株を同定した。 続いて、H3K27me3が低下した細胞株に対して、H3K27me3の脱メチル化阻害剤であるGSK-J4の添加を行うことによって、H3K27me3のメチル化状態を低メチル化状態から高メチル化状態に変化させることを示した。さらに、H3K27me3高メチル化状態へと変化した細胞株において、治療抵抗性遺伝子とされているHOXA9の遺伝子発現が低下することを示した。 また、最終的には、GSK-J4とAraCとの併用により、より殺白血病細胞効果が増強されることを示した。 また、これまでの研究結果より、小児AMLにおいて、H3K27me3の低下が治療抵抗性に寄与し得ることは示されているものの、小児ALLにおけるH3K27me3などのヒストンメチル化状態の影響に関する検討はなされていないため、小児ALLにおいても、ヒストンメチル化状態が及ぼし得る影響について、評価するために、小児ALL症例に対しても、検討を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度としての白血病細胞株を用いた、脱メチル化阻害剤の治療効果や、遺伝子発現の変化についての評価は、順調に行えており、当初の研究計画通りに進行しているものと評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、脱メチル化に関与する遺伝子のノックダウン、ノックアウトを行うことでAML細胞株に生じる変化を評価し、治療ターゲットとなり得るか、妥当性を評価する。最終的にはin vivoレベルでの評価を行うための準備を行う。 さらに、小児ALLにおけるヒストンメチル化修飾の意義についても探索的に研究を遂行していく方針である。
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Causes of Carryover |
今年度は、研究の遂行に従事したことや、スケジュール調整が難航し、学会報告等への参加に伴う旅費の出費が計画当初より減額となった。次年度においては、研究会での報告のための旅費や、新たな細胞株での実験やノックダウン、ノックアウト試薬、また、研究の進行度に応じて、マウス等の購入も予定しており、それらの研究費に使用予定である。
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