2023 Fiscal Year Research-status Report
ヨードトランスポーターSLC26A7から導く甲状腺ヨード動態の全容解明
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23K07298
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
青山 幸平 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (40812095)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | SLC26A7 / 先天性甲状腺機能低下症 / ヨードトランスポーター / SLC5A5 |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちは甲状腺ホルモン合成障害の家系解析でこれまで疾患と報告の無かったSLC26A7遺伝子のホモ接合性変異の同定を契機に、SLC26A7が新規ヨードトランスポーターであり、先天性甲状腺機能低下症の新規原因遺伝子であることを証明してきた。 ヨードは甲状腺ホルモンの原料として生体内では甲状腺組織のみで必要とされるが、ヨードの甲状腺内への輸送メカニズムはいまだ十分に解明されておらず、私たちが研究を進めているSLC26A7のヨードトランスポーターとしての機能評価が、ヨード動態の解明に繋がると期待できる。 私たちはヨードトランスポーターの機能や相互関係を調べる目的で、CRISPER-Cas9を用いてヨードトランスポーターであるSlc26a4、Slc26a7、Slc5a5の各々のノックアウト(KO)マウスと、Slc26a7とSlc26a4や、Slc26a7とSlc5a5のダブルノックアウトマウスを作成した。 Slc26a7KOマウスでは、野生型と比較して、体重増加不良、甲状腺腫、甲状腺機能低下が確認され、RANseqではSlc26a4発現が代償的に上昇していることが確認された。Slc26a7の甲状腺濾胞細胞における発現部位は適当な抗体が得られておらず、当研究室で確認ができていない。 これらのKOマウスを用いて高ヨード環境と通常のヨード環境で食餌をわけて、各KOマウスの体重、甲状腺機能、甲状腺のRNAseqを行い、表現型の違いについて検討を進めている。現在までに高ヨード環境における甲状腺機能や甲状腺腫の改善はSl26a7KOマウスではSlc5a5KOマウスほどは認めないことが確認されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各々のKOマウスについて、ヨード含有の異なる食餌による違いの検討を進めており、間もなくこれらの結果が得られる段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
各々のKOマウスでのRNAseqデータの解析、主成分分析を進める。また、SLC26A7遺伝子異常の罹患者の変異を挿入したSlc26a7ノックインマウスについても、同様の検討を進めたい。
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Causes of Carryover |
人手の不足があり、思うようにノックアウトマウスの作製・維持ができなかったことにより、実験の進捗に影響がでたため。
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