2023 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the mechanisms for developmental brain-specific energy metabolism to normalize neurodevelopmental disorders
Project/Area Number |
23K07340
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
谷田 任司 大阪公立大学, 大学院獣医学研究科, 講師 (30589453)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 乳酸 / ピルビン酸 / 海馬初代培養ニューロン / 解糖系 / エネルギー代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,海馬初代培養系の安定化のためガラスボトムディッシュやチャンバースライドへの細胞播種密度とコーティング剤,培地の再検討を行いながら,ニューロン生育における有機酸(乳酸,ピルビン酸)や解糖系の役割を調べた。 胎齢18日のラット海馬からの初代培養系において,培養開始2日目(days in vitro, DIV 2)までは通常条件下にて培地を行い,DIV3からグルコース(-)/インスリン(-)条件下での培養を開始,同培地に乳酸やピルビン酸,さらにモノカルボン酸トランスポーター(MCT)阻害剤(α-cyano-4-hydroxycinnamate)等を添加して培養を継続した。ニューロンの形態は抗MAP2蛍光染色やFluorescein-Phalloidinによる染色を施し観察した。その結果,まだプリリミナリーな状態ではあるが,乳酸やピルビン酸を添加することでグルコース(-)でも形態学的にはグルコース(+)と同程度の突起成長が認められた。一方,MCT阻害剤を添加すると乳酸添加群で認められた突起伸長が顕著に抑制されたことから,細胞内に取り込まれた乳酸が呼吸基質となって突起伸長を促すことが示唆された。 今後より微細な構造を観察する目的で,アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いた遺伝子導入に着手した。蛍光タンパク質(EGFP, mCherry)のN末端に移行シグナル(Palmitoylation,Lifeact)を付加した配列をAAVベクターのmultiple cloning siteに挿入した。移行シグナルの付加により,フィロポディアやスパイン等,微細構造の蛍光像が改善された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グルコース枯渇条件など,様々なエネルギー条件下におけるラット海馬由来初代培養細胞の培養条件および観察条件を確立した。
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Strategy for Future Research Activity |
ニューロンの生育と細胞内外のエネルギー状態の関連性を探るため,これまで行ってきた蛍光染色のみではなくアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター等を用いた蛍光タンパク質や代謝産物センサーの遺伝子導入を行い,微細構造の形態と共にエネルギー代謝産物の分布/局在やその培養条件による変化を解析する。
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Causes of Carryover |
比較的安価な代替品を多用したため,経費を抑えることに成功し次年度使用額が発生した。次年度使用額は細胞培養用の消耗品を購入するために使用する予定である。
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