2023 Fiscal Year Research-status Report
免疫関連分子による上皮幹細胞の維持・分化を介した胃老化・発癌制御機序の解明
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23K07347
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
浅野 直喜 東北大学, 医学系研究科, 講師 (20526454)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | NOD1 / 幹細胞 / 老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
種々の臓器において、老化は発癌に寄与しており、免疫応答系は老化に影響を与える。胃においても加齢に伴い胃癌の罹患率が上昇することが報告されており、本応募者は免疫応答を介した胃における老化関連発癌に着目して研究を進めている。これまでの研究により、自然免疫関連分子NOD1の遺伝子を欠損する遺伝子改変マウスの胃においては胃粘膜萎縮が顕著であり、Helicobacter pylori感染NOD1欠損マウス胃では腸上皮化生の進展が認められることを見出している。胃粘膜萎縮は胃粘膜の老化、Helicobacter pylori感染は老化のacceleratorと捉えられ、胃における老化の進行によってこれらの前癌病変が出現すると考えられる。これらに加えて、老齢マウスオルガノイドでは、細胞老化の抑制によりオルガノイド形成能・増殖能が亢進していることを見出しており、NOD1欠損マウス胃からもオルガノイドを樹立し、老化関連発癌の機序を解明しようと試みている。 本年度は増すNOD1欠損マウスおよび野生型マウス胃においてプロトンポンプの免疫染色を行い、壁細胞数を定量した。その結果、1腺管あたりのH+K+ATPase陽性細胞数が野生型マウス胃では31.12だったのに対し、NOD1欠損マウス胃では12.2であり(p=1.335e-09)、NOD1欠損マウス胃で有意に胃粘膜萎縮が進行していることが確認された。次に、NOD1によって制御されている老化・胃粘膜萎縮に関与している遺伝子を抽出するため、NOD1欠損マウスおよび野生型マウス胃から作成したオルガノイドからRNAを抽出し、Gene set enrichment analysisを含めたマイクロアレイ解析を行った。まだ解析途中ではあるが、現時点までに、NOD1欠損マウス胃オルガノイドにおいて、創傷治癒に関連する遺伝子群や脂質代謝に関与する遺伝子群、インターフェロンに関連した遺伝子群等との相関を認めた。今後はさらに個々の遺伝子発現を定量PCRや蛍光免疫染色等により確認する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
医学部附属動物実験施設の改修工事により、NOD1欠損マウスを凍結胚から個体化しなければならなかったために時間がかかってしまったが、本年度に予定していたNOD1欠損マウスおよび野生型マウス胃オルガノイドの作成、GSEA解析を含めたマイクロアレイ解析を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロアレイ解析によって得られたデータについて、さらに詳細な解析を進める。また、胃オルガノイドの増殖能の比較を行うとともに、アレイ解析によって特定した、胃粘膜の老化・発癌に結びつく新規遺伝子の発現・機能解析を進める。
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Causes of Carryover |
動物実験施設の改修工事に伴い、実験に使えるマウスの準備に時間がかかってしまったため。
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