2023 Fiscal Year Research-status Report
慢性炎症環境に大腸陰窩が適応するためのAIDによる変異獲得メカニズムの解明
Project/Area Number |
23K07384
|
Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
岡田 季之 久留米大学, 医学部, 助教 (10607328)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝口 恵美子 久留米大学, 医学部, 教授 (40782157)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | AID / ectopic expression / colonic epithelial cells / inflammation / CAC |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症環境に大腸陰窩が適応するためにactivation-induced cytidine deaminase(AID)の異所性発現が誘導されることで、大腸粘膜の再構築に貢献する一方で、大腸炎関連がん(CAC)で高頻度に認められるTP53などの変異も同様に誘導してしまうことで長年かけて蓄積した結果、CAC発症に繋がっている可能性について明らかにすることを目的とする。この目的を達成するために、令和5年度は『大腸上皮細胞におけるAIDの標的遺伝子の同定』を中心に検討を行った。 大腸上皮細胞(CEC)において発現するAIDの標的遺伝子の同定を同定するために、AID-FLAGを安定発現させた大腸がん細胞株を用いて検討していたが、自他のグループの研究結果よりCECにAIDの発現を誘導する様なサイトカイン刺激によって、AIDが直接結合する標的が変化する可能性が示唆された。また、『CAC発症にAIDの異所性発現が与える影響の検討』については、まず急性大腸炎を誘導したマウス(野生型とAID欠損型のマウスに4%DSSを4日間自由引水させ大腸炎を誘導後、14日後にCECから抽出したゲノムDNAを用いて変異解析を行った。この時のネガティブコントロールとして、同一個体の耳を用いている)の全ゲノムシーケンス解析のデータを再検討して変異の有無を確認した。大腸炎関連がん(CAC)を発症した患者で報告されている22変異遺伝子のうち、AIDの標的と予想される13遺伝子に変異が認められるか確認した結果、急性大腸炎による影響ではこれらの遺伝子をコードする領域に変異は認められなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
CHIP-seq解析を実施する予定で細胞の準備を行っていたが、我々と他のグループの研究の結果より大腸上皮細胞にAIDの発現を誘導する様なサイトカイン刺激を実施した場合、AIDが直接結合する標的遺伝子座が変化する可能性が示唆されたことから実験計画を見直したため。さらに、それに加え通院加療を要する体調不良が重なり研究が遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1):AIDを誘導に関与することが報告されているサイトカイン刺激の有無により、AIDが結合する標的遺伝子座の同定とその標的が変化するかCHIP-seq解析を行い明らかにする。 (2) : CHIP-seqで同定したAIDの標的遺伝子に変異が認められるか、CHIPに用いたAID発現細胞株のゲノムDNAを精製してエクソーム解析を行うことで明らかにする。 (3): in vivoの実験系においても同様にWTとAID-欠損マウスにAOM / DSS誘発CACモデルなどを用いて、CACを誘発し腫瘍数、径や組織評価を行う。
|
Causes of Carryover |
当初予定していたCHIP-seq解析の遅延したため次年度使用額が発生した。発生した次年度使用額を用いてCHIP-seqとエクソーム解析を行う予定である。
|