2023 Fiscal Year Research-status Report
一般検診の基本的データを用いた人工知能による膵癌マススクリーニング法の確立
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23K07401
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
廣田 衛久 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (70400364)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 賢一 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (10282055)
高橋 伸一郎 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (40375069)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 膵癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年から2022年までに当院を受診した膵癌男性症例56例と人間ドックを受診した非膵癌男性110例を対象とし、27項目の一般検査データ(WBC、RBC、Hb、Hct、PLT、HbA1c、ALP、LDH、γ-GTP、AST、ALT、AMY、TP、A/G、Alb、BUN、Cr、T-Bil、T-Cho、HDL、TG、LDL、UA、Glu、CRP、SG、BMI)を用いて、self-organizing map(SOM)の作成とBidirectional Recurrent Neural Network(BRNN)によるLeave One Out (LOO)計算を用いたAutomatic Relevance Determination(ARD)on/off両方の予測率を算出した。その結果、SOMでは膵癌例と非膵癌を明確に分類したマップを作成することが可能であり、特にStage 0例が膵癌と非膵癌の境界に位置するなど、SOMの有用性が示唆された。さらにLOO計算ではARD on/off両方で予測率0.9以上と良好であった。この結果は、第54回日本膵臓学会シンポジウム「膵癌早期診断を目指した検診システムの構築」で発表した。その解析では、膵癌症例と非膵癌症例の間で年齢に有意差があったことから、その後年齢をマッチさせた症例で同様の解析を昨年度開始した。さらに、男性例のみで解析を行ってきたが、女性例についても昨年度に同様の解析を開始した。また、前癌病変である膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)例を集積し、経過観察することで膵発癌前後の検査値の変化について解析する目的で、近隣の施設に広報しIPMN患者を集めているところであるが、2023年度だけでIPMN患者500名近くから研究の同意書を取得することができたことも成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始初年度の解析で良い結果が出たことで学会発表を行うことができ、その後も年齢マッチおよび女性例の解析についても2024年度に入り、良い結果が出ており、本年度はこれらをまとめて最初の英文論文作成に取りかかれる見込みである。27項目の検査項目を削減する試みについては、現時点で解析に必要なデータの収集は済んでおり、論文作成後本年度中に取りかかれる見込みである。IPMN症例の集積も順調に経過しており、膵癌発生例についての解析を研究期間内には始められる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
比較的若年(平均年齢50歳代)の膵癌例と非膵癌例の年齢をマッチさせた解析および女性例の解析において本年度に入り良い結果が出ており、英文論文を本年度作成する。今後の検討課題の1つ目は、採血検査項目27項目を減らすことが可能かであり、本年度検討する。検討課題の2つ目であるが、膵癌は主に60歳以上の高齢者に発症する疾患であり、現在の比較的若年者を対象とした結果だけでは不十分である。膵癌検診システム確立を目指す場合には高齢者を対象とする必要がある。そのため、昨年度当院を受診し膵癌が無いことが確認された高齢者の検査データを対照例として蓄積しており、既に集積している高齢者の膵癌例の検査データと比較することで、高齢者においても本解析方法が有用であることを本年度検証する。これらで良い結果が得られれば、将来の膵癌検診を目指して、当院の連携クリニック等を協力し、前向きに外来患者のデータを集積し大規模な検証実験を検討して行く予定である。さらに、今後の検討課題の3つ目として、本解析方法がIPMNの発癌を予測することができるかについて、昨年度集積した500例のIPMN例を前向きに経過観察し、発癌例の前後の検査値について解析して行く。IPMN例は今後も広報を行い、登録を継続し症例数をさらに増やす。
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Causes of Carryover |
購入した物品の定価からのディスカウントが大きかったことと、初年度は人件費を使う必要がなかった点が挙げられる。初年度に行った解析は、これまでに既に集積していたデータを用いた解析が多かった。IPMNについて多くの患者登録を行ったが、データ抽出を行うのは本年度以降になる。繰り越しについては本年度のIPMNのデータ抽出の人件費の一部と学会参加のための旅費、論文作成のために使用する。
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