2023 Fiscal Year Research-status Report
根治不能肝細胞癌に対するEphA2遺伝子を標的とした新規核酸医薬の開発
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23K07406
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
石崎 守彦 関西医科大学, 医学部, 講師 (10509467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中竹 利知 関西医科大学, 医学部, 助教 (40779401)
松浦 徹 関西医科大学, 医学部, 講師 (60415297)
奥山 哲矢 関西医科大学, 医学部, 博士研究員 (80614966)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | EphA2 / 肝細胞癌 / 核酸医薬 / センスオリゴヌクレオチド / 内在性アンチセンス転写物 / オルガノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
膜受容体型チロシンキナーゼのErythropoietin-producing hepatocellular receptor A2(EphA2)は様々なヒトがん組織において過剰発現し、がん化とその進行に密接に関係している。内在性アンチセンス転写物(AS)であるEphA2-ASはEphA2 mRNAを安定化するが、ASに相補的な、つまりmRNAと同じ塩基配列のセンスオリゴヌクレオチド(EphA2センスオリゴ)はEphA2 mRNAの分解を促進する。本研究では、このEphA2センスオリゴを用いることで、肝細胞癌に対する新たな治療法の開発を行う。現在までに、ヒト肝細胞癌由来培養細胞株KYN-2においてEphA2センスオリゴによる高い殺細胞効果を認めた。センスオリゴを武装化修飾して、ヒト肝細胞癌由来培養細胞株およびヒト肝細胞癌由来臓器オルガノイド(in vitro)、そしてヌードマウス腫瘍モデル(in vivo)における効果検討を行う。加えてヒト正常肝細胞由来臓器オルガノイドを用いて、正常細胞には毒性を示さないようにセンスオリゴ修飾を最適化する。前臨床実験にて有効性を確立し、基礎的データの集積により肝細胞癌の根治的な治療を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1) 数種類のヒト由来肝細胞癌細胞株とヒト臨床凍結検体におけるEphA2 mRNAとASの発現量の確認:ヒト由来肝細胞癌細胞株およびヒト臨床凍結検体における癌および正常組織のEphA2 mRNAとASの発現を、配列特異的逆転写PCR法を用いて定量した。 (2)EphA2-ASが高発現している細胞株に対する、EphA2センスオリゴの殺細胞効果検討:KYN-2をはじめHuH-7、Li7、HepG2およびHLFの各細胞株にEphA2センスオリゴを投与したところ、有意な細胞数減少が確認された。 (3) EphA2センスオリゴの追加改良:現在のセンスオリゴに付した難分解性の修飾塩基を、難分解性および肝臓毒性の低減を併せ持つ修飾塩基に置換する改良を行った。また肝細胞の細胞膜表面に発現する受容体に対するリガンドをセンスオリゴに付加し、細胞取り込み能が高まるか検討を行う。 (1)に関してヒト検体の検討も継続する。その他の項目については概ね予定通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)ヒト由来肝細胞癌細胞株皮下腫瘍モデルおよび腫瘍肝同所モデルに対する改良型EphA2センスオリゴの抗腫瘍効果の検討:センスオリゴは、効率よく核酸医薬をデリバリーするアテロコラーゲンとともに、門脈および尾静脈から投与する。腫瘍サイズや生存率などへの影響を調べる。 (2)ヒト由来肝細胞癌オルガノイドを用いた改良型EphA2センスオリゴの効果検討および配列や修飾の最適化:現在ヒト肝細胞癌由来臓器オルガノイドおよびヒト正常肝細胞由来臓器オルガノイドを確立と、改良型EphA2センスオリゴの効果検討および配列や修飾の最適化を目指している。肝細胞癌オルガノイドおよび癌検体と同時に採取した末梢血単核球との共培養に対し、改良型EphA2センスオリゴの抗腫瘍免疫を含めた抗腫瘍効果をELISpot assayを用いて検討する。ヒト正常肝細胞由来臓器オルガノイドを用いて、臨床応用に向けたセンスオリゴの配列や修飾の最適化を行う。
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Causes of Carryover |
購入物品などの工夫を行い、経費削減を行なったため次年度使用額が生じたが、前述した今後の計画に使用する方針とした。
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Research Products
(7 results)