2023 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of CAF-induced pancreatic cancer malignant factors and development of novel therapeutic targets
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23K07407
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Research Institution | Microbial Chemistry Research Foundation |
Principal Investigator |
吉田 潤次郎 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所, 研究員 (20712706)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 膵がん / 間質相互作用 / integrin / 細胞運動 / 転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、膵がんの新規治療標的を開発する目的でがん関連線維芽細胞(CAF)に誘導される悪性度が高い膵がん細胞の表現系に着目して解析を行なった。この結果、膵がん由来CAFの培養上清(CM)処理によって膵がん細胞において発現が亢進するSUSD2がintegrin β1経路に働き、膵がん細胞の遊走能を増強することがわかった。本研究では、膵がんの新規治療標的として膵がん細胞におけるSUSD2の機能および発現誘導機構を解析することを目的としている。当該年度では、ウイルスベクターを用いて膵がん細胞株Panc1およびKP2を用いてSUSD2の安定高発現株を作成した。このSUSD2高発現細胞では、collagen type I およびfibronectinに接着した際のintegrin経路のFAKのリン酸化がコントロール細胞と比較して増強された。さらに、細胞の接着能もcollagen type I およびfibronectinに対してSUSD2高発現細胞では増強されることがわかった。また、同様にcollagen type I およびfibronectinに接着した細胞のリン酸化FAK、integrin β1、F-actinの共局在がSUSD2高発現細胞でコントロール細胞と比較して促進されることがわかり、SUSD2はintegrin β1に作用して遊走に関連するFAKの活性を高めることが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、SUSD2高発現細胞における増強された遊走能はintegrinβ1阻害剤で抑制されたことから、SUSD2はintegrinβ1に直接もしくは間接的に作用してintegrinβ1により制御される細胞遊走を増強することが予想された。当該年度の研究結果から、細胞外基質タンパク(ECM)と接着した細胞でSUSD2の高発現によりintegrinβ1-FAK経路が増強されることがわかった。また、蛍光免疫染色の結果からもSUSD2はECMと接着した細胞のadhesion complex の形成を促進する結果が得られた。これらの結果から、SUSD2はintegrinβ1とECMの相互作用を増強するような働きがあることが考えられる。CAFのCMによるSUSD2の発現誘導機構については、CAF CMに含まれるNotchの可溶性リガンドについて解析を進めている。本研究課題の進捗状況は、申請書に沿って行われており、概ね計画通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
SUSD2の機能解析については、今後もECMをリガンドとしたintegrin-FAK経路の活性化因子として解析を続ける予定である。SUSD2高発現細胞でintegrin-FAK経路の増強が強く見られたcollagen type Iを主に用いて、接着時のintergin α2β1のクラスター化等も検討する。また、ECMに結合した細胞でのSUSD2とintegrin β1との直接的な結合について、tag標識したSUSD2を用いたプルダウンアッセイを行なって評価する。また、膵がん患者由来の組織アレイを用いてSUSD2の発現と膵がんの悪性度との関連を評価する。SUSD2の膵がん細胞における発現誘導機構については、現在Notch3の下流でSUSD2が制御されていると考えており、Notch3の可溶性リガンドの候補となる分子についてCAF CM中での存在の評価およびリコンビナントタンパクを用いたNotch3の活性化とSUSD2の発現について検討する。
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Causes of Carryover |
わずかに端数が生じたため、次年度で消耗品に使用する。
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