2023 Fiscal Year Research-status Report
網羅的遺伝子解析によるirAE肝障害発症メカニズムの探索および治療アルゴリズムの開発
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23K07434
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
水野 和幸 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (60967206)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | irAE肝障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、免疫チェックポイント阻害薬による免疫関連副作用(irAE)としての肝障害について臨床的背景を調査するため、当院で免疫チェックポイント阻害薬を投与された患者約1270例のカルテを調査し、CTCAE Grade 3以上の重症肝障害を起こした71例を抽出した。これらの臨床情報を整理し、その後の経過や発症リスクについて検討した。
また、臨床的に必要と判断し肝生検を行った、irAEによる肝障害を起こした患者24検体と、比較目的で自己免疫性肝炎や脂肪肝炎の症例21検体の一部を保存してRNAを抽出した。抽出したRNAのクオリティを評価した後、RNAシーケンスを実施した。
RNAシーケンスの結果から、自己免疫性肝炎とirAEによる肝障害、そしてほぼ正常な肝生検検体との比較を行い、炎症によって変化していると考えられる遺伝子とirAE特有のメカニズムによって変化していると考えられる遺伝子候補を特定した。これらの遺伝子から生成されるたんぱく質や長鎖非コーディングRNAについての機能を調べ、使用可能な抗体の存在も確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
irAE肝障害を起こした患者の肝生検検体を得にくいと考えていたが、24例と十分な検体を得て解析まで行うことができている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後irAE肝障害にかかわっていると考えらえる遺伝子からできる蛋白の免疫染色などを行う。また、臨床情報をより詳細に調べ、遺伝子プロファイルとの関係についてより詳細な検討を行う。
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Causes of Carryover |
RNAシーケンスによりirAE肝障害に関係するタンパクを候補として挙げ、その蛋白を免疫染色するために抗体を今年度購入することを予定していたが、遅れており購入していない。来年度に購入する予定である。
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