2023 Fiscal Year Research-status Report
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23K07452
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
濱田 晋 東北大学, 大学病院, 助教 (20451560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 諒太郎 東北大学, 大学病院, 医員 (40963830)
正宗 淳 東北大学, 医学系研究科, 教授 (90312579)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は膵癌微小環境中における免疫抑制細胞の局在確認のため、生後90日のKPCマウス膵組織・Nrf2欠損KPCマウス膵組織を用いてM2マクロファージマーカーであるCD163の免疫染色を行ったが、前癌病変であるPanIN周囲にはほとんど陽性細胞を認めないとの結果であった。膵癌が顕在化した時点での発現評価・他の免疫抑制細胞マーカー、FoxP3およびCD11bの発現評価が必要であると判断し、担癌状態のKPCマウス・Nrf2欠損KPCマウスを用いた検討を次年度以降に行う方針とした。腫瘍微小環境がもたらす免疫抑制作用を明らかにするため、既報にて免疫抑制性骨髄系細胞を誘導する膵星細胞について、細胞外基質との相互作用におけるNrf2の関与を検討することとした。先行研究で樹立した野生型マウス膵星細胞を通常の細胞培養用表面処理を行ったプレート、細胞外基質コーティングを施したプレートで培養し細胞増殖を比較したところ、有意な増殖能の差は認めなかった。一方、Nrf2欠損膵星細胞では細胞外基質コーティングにより細胞増殖が抑制された。ヒトおよびマウス膵癌細胞では細胞外基質コーティングプレートでは細胞増殖が促進されており、アポトーシス関連分子やオートファジー基質蛋白の発現変化を認めた。癌細胞増殖に寄与する細胞外基質は膵星細胞に対して異なる作用を示すことが示唆された。Nrf2は膵星細胞が細胞外基質中で生存するのに不可欠である可能性があり、細胞外基質によるシグナル伝達経路の活性化や標的分子につき今後検討を要する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前癌病変の段階では膵組織内の免疫抑制細胞の集積が弱い可能性が示唆され、解析時期の最適化が必要と考えられた。細胞外基質との相互作用・細胞生存については、免疫抑制に寄与する膵星細胞においてNrf2が重要な役割を果たすことが示唆され、新たな解析対象と考えられた。以上の進捗を鑑み、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞外基質との相互作用においてNrf2が果たす役割をさらに解析する。異なる細胞外基質により刺激された膵星細胞において、免疫抑制作用も影響を受けるか検証する。
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Causes of Carryover |
本年度は免疫染色・培養実験に時間を要したため未使用額を生じた。次年度は重点的に組織解析・生化学実験を行うため、未使用額とあわせて使用予定である。
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