2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of NASH-HCC treatment targeting novel gene regulatory functions of nuclear transport receptor proteins
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23K07461
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
江口 暁子 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (00598980)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安原 徳子 (垣内徳子) 日本大学, 文理学部, 准教授 (90423152)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 肝癌 / 核内輸送受容体タンパク質 / 慢性肝疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年研究代表者らは、核内輸送受容体タンパク質(KPNA)が癌転写因子を核内に輸送するだけでなく、クロマチンに自ら結合することで細胞増殖を制御することを明らかにした。さらに先行研究として、MASH (metabolic associated steatohepatitis) 肝癌マウスの肝癌組織ではKPNAが核集積したKPNA陽性肝細胞が増加することや、MASHの細胞モデルであるパルミチン酸(PA)を添加した障害肝細胞ではKPNAが核集積し、Oct4などの癌転写遺伝子を上昇させることを見出した。そこで本年度は、KPNA2機能異常が肝細胞の形質転換を誘発するか検討するため、野生型マウスから分離した初代培養肝細胞をスフェロイド培養し、PAを添加した後、スフェロイドの大きさを経時的に計測した。その結果、PAの添加によりスフェロイドが大きくなることがわかった。なお、MASHの病態進展に関わるサイトカインを添加した場合でも、同様にスフェロイドが大きくなり、かつKPNAが核集積したKPNA陽性肝細胞が増加することを見出した。スフェロイドの形状から細胞が増殖していることが予測されたため、PA添加後の癌転写因子・細胞周期関連因子を含む遺伝子変化を網羅的に検出した。その結果、肝細胞癌で高発現し悪性度と関連すると報告がある13遺伝子を含む23遺伝子が、KPNA2機能異常に連動して変動することを明らかにした。 これらの変化にKPNA2のクロマチン結合能が関与するかについて検討するためには、クロマチンへの結合能を欠失したKPNA2(欠失KPNA2)を用いて実験する必要がある。そこで、欠失KPNA2を発現するベクターを肝細胞に導入してKPNA2の挙動をみたところ、細胞質への局在が主であり核内に停滞しないこと確認でき、一連の実験をする準備が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に沿って、ある程度予定通り遂行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
野生型(wt)やKPNA2 KOマウスにMASHもしくはMASH-肝癌を発症する餌を与える。これらのマウスの肝癌の数や大きさ、肝組組織のH&Eやシリウスレッド染色、定量性PCR(qPCR)による癌や肝線維化や肝炎症関連遺伝子発現、血中の肝逸脱酵素レベル、免疫組織化学染色(IHC)によるKPNA, AFP, Ki67, PCNA染色等を指標に、KPNA2 KOマウスにおける肝発癌の変化を検討する。さらにNASHの病態進行におけるKPNA2依存的なマウス肝細胞内の変化を検討するため、wtとKPNA KOのMASH・MASH肝癌マウスから肝細胞を分離し、肝細胞内の遺伝子変化を検出し、KPNAにより変動する遺伝子経路を同定する。
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Causes of Carryover |
ノックアウトマウスの繁殖が低く、1年度に使用する金額が下がったため。翌年分の助成金と合わせてマウス実験の費用にあてる。
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