2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23K07497
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
木村 正臣 弘前大学, 医学研究科, 准教授 (50400130)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 心房細動 / 心外膜脂肪 / 高周波カテーテルアブレーション / 肺静脈隔離術 / 抵抗加熱 / 心腔内インピーダンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、高周波通電時に影響を与える因子として心腔内インピーダンスに注目し、通電開始時の局所インピーダンスを規定する要因について追及することである。カテーテルと心筋との接触によってその実数は大きく変化するが、患者ごとのベースとなる固有値が存在し、それによって焼灼効果の程度が変動すると仮定するとその環境要因のひとつに心外膜脂肪の容積が関与すると考えられる。そのため、まず心外膜脂肪容積以外のパラメータがどの程度関与するかを検討するため、高周波通電時の初期インピーダンスと組織温度の変化量を解析した。その結果、心腔内インピーダンスと最も相関したのは、ヘマトクリット値、Na濃度およびNT-proBNP値であり、その予測式は以下の通りであった。 予測値(Ω)=60.27079+1.1064×Ht-0.37150×Na-4.52555×Log(NT-proBNP) そこでこれらのパラメータが高周波通電の焼灼効果にどの程度影響しているかQDOT microカテーテルを用いて温度変化との関係を検討した。QDOT microカテーテルはCARTOシステム上で使用し、最大90Wの出力で焼灼可能である。ごく短時間の通電により、抵抗加熱による温度上昇を捉え易くなる。90Wでの超高出力におけるジェネレータインピーダンスの変化量、カテーテルチップ表面に搭載された温度計(6ケ)での温度上昇率を収集し、初期インピーダンスと時間当たりの温度上昇率の関係を解析した。このカテーテルによる90W高出力通電では、通電後組織温度の上昇により自動的に出力コントロールがなされるため、定量的に供給されたエネルギーとそれに対する温度変化に影響を与えてしまうことになる。そこで、通電開始直後1秒間での組織温度の上昇率を測定することにし、現在臨床データからそれぞれの実測値を集積している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では心房細動に対する肺静脈隔離術を行う症例を対象とし、RhythmiaシステムおよびStablePointカテーテルを用いて高周波カテーテルアブレーションを行う予定であったが、同システムによる症例数の確保が難しく、他のアブレーションカテーテルを用いてデータを収集する方向で再度検討しており、90Wでの超高出力におけるインピーダンス変化、カテーテルチップ表面に搭載された高精度の6つの温度計での温度上昇率を収集している。
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Strategy for Future Research Activity |
QDOTmicroカテーテルによる90W高出力通電での焼灼効果に影響を与えるパラメータを分析し、その寄与率を計算する。それによって過度な焼灼によるスチームポップの回避や通常の焼灼設定にもかかわらず予測を大幅に下回るような無効通電を回避するため、これらの解析は非常に重要である。また、患者固有のパラメータによってどの程度影響を受けるのかわかっていない。今後、それらのパラメータを明らかにしていく予定である。
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Causes of Carryover |
購入予定機器の価格変動により、未購入のものがあり次年度分として使用予定である。
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