2023 Fiscal Year Research-status Report
Elucidating pathogenic mechanisms of heart failure through RNA metabolism and protein-protein interaction mediated by transcriptional modulator IkBz
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23K07501
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
東邦 康智 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10586481)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 心不全 / 炎症 / RNA代謝 / 蛋白質相互作用 / ミトコンドリア / 液液相分離 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、心筋細胞特異的にIκBζを過剰発現させたマウス、IκBζヘテロ欠損マウスとヒト心臓検体を用いて、IκBζの心不全発症における役割の検討を行った。 まず、ヒト心臓移植レシピエント心と心臓病を有さない剖検心との比較により、不全心においてIκBζの発現が増加していることを確認した。次に、心筋細胞特異的にIκBζを過剰発現させたマウスを作成し、大動脈縮窄術による圧負荷を加えて心機能や遺伝子発現の経過を評価した。同マウスでは野生型マウスと比較して圧負荷後の心リモデリングと左室収縮能障害が増悪することを確認した。また、圧負荷後の心筋細胞特異的IκBζ過剰発現マウスの心組織では、野生型マウスの心組織と比較してミトコンドリア機能障害が大幅に悪化する他、トランスクリプトーム解析によりフェロトーシス関連遺伝子の発現が増加することを明らかにした。なお、圧負荷を加えていない状態では、心筋細胞特異的IκBζ過剰発現マウスと野生型マウスの心臓の機能や構造に有意な差は認めず、IκBζはストレス応答性に機能することが示唆される。 さらに、これまでに同定したIκBζの結合蛋白質の心臓における動態の評価とその機能の解析を行った。結合蛋白質の一つは野生型マウスの不全心でその発現が低下するが、IκBζヘテロ欠損マウスではその発現は増加していた。同結合蛋白質の機能抑制は心臓におけるミトコンドリア機能障害につながった。また、別の結合蛋白質についてはその発現量は圧負荷後も変化を認めなかったが、同タンパク質が介在する液液相分離はIκBζヘテロ欠損マウスで促進していたことから、IκBζが液液相分離を抑制することによって遺伝子発現パターンを変容させることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、心筋細胞特異的IκBζ過剰発現マウスの解析とIκBζ結合蛋白質の動態及び機能解析を予定していた。それらの解析は予定通り順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
分子標識技術を用いた細胞実験や遺伝子改変マウスを用いたマルチオミックス解析を通じて、IκBζの発現及び機能の制御機構を解明する。
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