2023 Fiscal Year Research-status Report
フォンタン術後うっ血性肝障害の非侵襲的リスク評価法に基づく新たな治療戦略の確立
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23K07505
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
世良 英子 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任助教(常勤) (70794139)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | フォンタン / 肝硬度 / エラストグラフィ |
Outline of Annual Research Achievements |
フォンタン術後成人期においてはうっ血性肝障害が高頻度に認められ、肝硬変や肝細胞癌へ進展し予後に影響する重大な合併症と認識されている。中心静脈圧高値がリスクとなるが、進展機序は解明されておらず、病態の悪化を反映する鋭敏な指標も確立されていないことが大きな課題となっている。本研究では、静脈還流増大に対する肝硬度の変化の規定因子を明らかにし、フォンタン術後のうっ血性肝障害の高リスク症例を早期に同定するための指標の確立およびうっ血性肝障害進行に関連するサロゲートマーカーの同定を目標としている。2023年度はフォンタン術後のカテーテル検査入院症例が少なく、外来診療における肝硬度測定の実施体制を整え、これまでに安静時中心静脈圧とエラストグラフィによる肝硬度との検討を行ったフォンタン術後24症例を中心に薬物治療強化に伴う肝硬度の変化を評価しデータの収集を行った。SGLT-2阻害薬等の心不全治療薬の積極的な導入を実施し、一部の症例では肝硬度の低下が認められた。一般的に心不全の病態把握に用いられるBNPやNTpro-BNP、肝障害の各種血液指標の変化は乏しく、この肝硬度の変化がフォンタン循環の改善を反映しているものかどうかについては、薬物調整後にカテーテル検査を予定し確認予定である。受動的下肢挙上負荷によるエラストグラフィーの評価は、非先天性心疾患の心不全や二心室修復後の先天性心疾患の入院症例に対象を広げてデータ収集を継続していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度はフォンタン術後のカテーテル検査入院が少なく、外来での治療介入前後における経時的な評価を積極的に行った。2024年度二心室修復症例や成人期発症の心不全にも広げて受動的下肢挙上時の肝硬度の変化について検討を継続していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はフォンタン術後のカテーテル検査が複数例予定されており、受動的下肢挙上負荷による肝硬度および血行動態指標の変化についての評価を積極的に実施していく予定である。また、2024年度二心室修復症例や成人期発症の心不全にも広げて受動的下肢挙上時の肝硬度の変化について検討を継続していく予定である。
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Causes of Carryover |
今年度はフォンタン術後のカテーテル入院件数が少なく、血液サンプルを用いた生化学解析は次年度に一部繰り越すこととした。
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