2023 Fiscal Year Research-status Report
Role of Filtrated Adipose Derived Regenerative Cell lysate in cardiovascular disease
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23K07574
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
柴田 玲 名古屋大学, 医学系研究科, 特任教授 (70343689)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
室原 豊明 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (90299503)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 脂肪組織由来幹細胞 / 創傷治癒 / 血管新生 / 濾液 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス脂肪組織由来幹細胞(ADRC)に凍結融解を3回繰り返し、融解した上清は0.20μmのセルロースアセテートを用いて、シリンジフィルターにて濾過を行うことで、脂肪組織由来幹細胞濾液(F-ADRCL)を作成した。マウス創傷治癒モデルを用いて、F-ADRCLの効果をADRCやADRC上清液と比較した。C57BL6マウスに、皮膚パンチを用いて背部に直径8mmの皮膚全層欠損の傷を作成し、F-ADRCL等を投与し、被覆フィルムにて創部とその周囲を被覆した。コントロールとADRC, ADRC上清液, F-ADRCLにて比較検討を行った。コントロールと比し、ADRC, ADRC上清液, F-ADRC いずれも、術後3, 7,14日目の創傷治癒が有意に促進した。特に、F-ADRCは最も強力な創傷治癒効果を示した。そこで、F-ADRCの創傷治癒効果の機序をin vitroの系にて検討を行った。ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)と線維芽細胞(Normal Human Dermal Fibroblasts)を用いて、F-ADRCLの管腔形成能やコラーゲン産生に対する効果を検討した。1x105個のADRCからF-ADRCLを作成し、HUVECに添加し、tube formation assayを行なった。また、線維芽細胞にも同様にF-ADRCLを添加し、collagen type1の産生量を測定した。F-ADRCLの添加でcontrolと比較し、有意に管腔形成の増加を認めた。線維芽細胞へのF-ADRCLの添加で、有意にcollagen type 1の産生量が増加した。このように、F-ADRCLは、強力な創傷治癒効果を発揮し、その機序として創部周囲の血管新生増加やコラーゲン産生能増加が関与していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、次世代の脂肪組織由来幹細胞治療として、より安全で簡便で効果的なツールとして、脂肪組織由来幹細胞濾液(F-ADRCL)に着目し、その血管新生能を評価し、F-ADRCLが虚血性心血管疾患に対する、次世代の再生医療・血管新生療法のツールとなりうるか否かを検討することにある。すでに、F-ADRCLを作成し、マウスへ投与を行い、その効果検討を行なった。マウス創傷治癒モデルにおいて、ADRCやADRC上清と比較しても、F-ADRCLは、より効果的である可能性を見出した。またその機序として、血管新生能やコラーゲン産生能の増加が関与していることも見出した。これらの知見は、2024年の第53回日本心脈管作動物質学会で発表を行なった。以上から、本研究は概ね順調に進展しているものと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
1) F-ADRCL作成における至適条件の検討:F-ADRCLはADRCを凍結/融解/濾過を行うことにより作成するが、凍結融解の回数や濾過フィルター孔径、サイトカインの含有量などの違いから、治療に対する至適条件を検討していく。 2) 創傷治癒におけるF-ADRCLの効果検討:血管新生能は創傷治癒に大きく影響するため、引き続き、マウス創傷治癒モデルを用いて、F-ADRCLの効果を検討する。特に創部の組織をCD31免疫染色など行い、主に組織学的アプローチで検討を行う。 3) 血管新生におけるF-ADRCLの効果検討:F-ADRCLの血管内皮細胞における管腔形成能など様々な影響に関して検討を行う。その機序解明やシグナル伝達経路の同定をウエスタンブロット法などで進めていく。
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