2023 Fiscal Year Research-status Report
高圧力に着目した肺動脈性肺高血圧症病態形成におけるStanniocalcin1の役割
Project/Area Number |
23K07637
|
Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
小神 真梨子 東京医科大学, 医学部, 臨床研究医 (70971365)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 詩子 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (70404994)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 肺動脈性肺高血圧症 / Stanniocalcin1 / 高圧力環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
特発性肺動脈性肺高血圧症(IPAH)は肺動脈の狭窄・閉塞により肺高血圧が上昇する難治性疾患である。発症には環境要因の関与が指摘されているが、その機序は未だ不明である。IPAHの平均肺動脈圧は60 mmHgを超えるにもかかわらず、これまで高圧環境での細胞培養は不可能であり、圧力に着目した研究は行われて来なかった。我々は独自の高圧力細胞培養装置により高圧力下での細胞培養を可能とし、IPAH患者の肺動脈平滑筋細胞を高圧力負荷することで著増するStanniocalcin1(STC1)を見出した。本研究の目的は、高圧力環境に着目してIPAHにおけるSTC1の役割を明らかにすることであり、従来の肺血管拡張薬とは異なる新規治療への応用が期待できると考えた。まず、IPAH患者のPASMCにSTC1を添加すると細胞増殖が抑制された。次に、IPAH患者のPASMCを用いたwestern blottingにより、STC1が細胞周期停止を促進することが分かった。さらに、STC1欠損マウスを用いて作製したPAHモデルの検討では、野生型と比較して右室収縮期圧、肺動脈中膜肥厚度が有意に増加した。また、STC1欠損PAHモデルマウスの肺組織において、細胞増殖マーカーPCNA陽性PASMCの割合が増加した。これらの結果から、STC1がIPAHの肺血管リモデリングを抑制している可能性が考えられ、STC1を増加させることが新規機序の治療となることが期待された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高圧力で増加するSTC1がIPAH患者PASMCの増殖を抑制することを明らかにできた。in vivoでも矛盾のない結果が得られている。
|
Strategy for Future Research Activity |
STC1の治療効果を検討するため、STC1欠損・野生型マウスにSTC1リコンビナント蛋白を投与し、慢性低酸素曝露によるRVSPの増加が抑制され肺動脈中膜肥厚度が減少するかどうかを右心カテーテル検査、肺組織標本のElastica Masson Goldner染色で確認する。
|
Causes of Carryover |
マウス肺動脈平滑筋細胞の初代培養を計画していたが、拡大培養が困難であることが判明し、マウス細胞を用いた実験を継続しなかったため次年度使用額が生じた。次年度は購入した市販のヒト肺動脈平滑筋細を用いて実験を継続する予定である。
|
Research Products
(3 results)