2023 Fiscal Year Research-status Report
アンジオテンシン-Wntシグナルのクロストークを介した高血圧・血管障害発症機序の解明
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23K07680
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
河原崎 和歌子 国際医療福祉大学, 基礎医学研究センター, 准教授 (50424594)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | アンジオテンシンII / Wnt5a / 高血圧 / 血管障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳心血管病は、加齢や、高血圧などの生活習慣病を基盤として進行し発症する。高血圧は加齢とともに増加するが、申請者は、加齢に伴い血中の抗加齢因子Klothoが減少した状態では、高食塩摂取時に血管のnon-canonical Wnt5a-RhoAシグナルの異常活性化が生じ、血管収縮を増強させ、高血圧形成において中心的な働きを担っていることを明らかにし、Wnt5a阻害薬による介入が、有意に加齢による高血圧発症を抑制することをこれまで示してきた。また、高血圧形成に深く関与すると考えられているアンジオテンシンIIは、RhoAの活性化を介して血管収縮を生じるが、培養血管平滑筋細胞において、アンジオテンシンIIによるRhoAの活性化がWnt5a依存性に生じることから、生体においてもアンジオテンシン IIによる高血圧形成がWnt5a依存性にnon-canonical Wnt5aシグナルの活性化を介して生じることが想定されている。さらにKlotho減少下におけるWnt5aシグナルの亢進は、高血圧だけでなく、血管障害にも関与していると考えられ、本研究では血中Klothoが減少し、Wnt5aシグナルが増加するマウスの病態モデルを作成し、Wnt5aシグナル阻害の有用性の検証を進めている。また、アンジオテンシンIIによるRhoA活性化機構におけるWnt5aシグナルの関与因子を血管平滑筋培養細胞を用いて検証しており、アンジオテンシンII-Wnt5aシグナルのクロストークの機序の解明を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
血管平滑筋培養細胞を用いた系において、アンジオテンシンIIによるRhoAの活性化に関わるWnt5aシグナル分子の検証を進めているほか、血中Klothoが低下し、Wnt5aシグナルが亢進している病態モデルマウスの作成と病態モデル解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
培養平滑筋細胞を用いた系において、アンジオテンシンII刺激によるRhoAの活性化に関わるWnt5aシグナル分子の同定を、異なる手法を用いて検証していくほか、アンジオテンシンIIとWnt5aシグナルのクロストークが、高血圧形成や血管障害にどのように関与しているかにつき、血中Klothoが低下した病態マウスモデルを用いて検証を進める。
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Causes of Carryover |
本年度は培養細胞を用いた実験と、血中Klothoが低下し、血管組織のWnt5aシグナルが亢進した動物モデルの作成と病態解析を中心に行い、病態モデルへのWnt5aシグナル阻害薬による介入を慎重に行う予定としたため、使用予定であった研究費を次年度に持ち越す結果となった。
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