2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23K07691
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
森戸 直記 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (70463825)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 痛風腎 / 近位尿細管 |
Outline of Annual Research Achievements |
高尿酸血症が長期間持続し、尿酸塩が腎臓の深部の髄質に結晶となって析出するために生じる慢性間質性腎炎が痛風腎の本態と考えられている。最近では、痛風には生活習慣病がしばしば合併し、それによる腎臓の障害が加わり、これを広い意味での痛風腎と理解されている。本邦ではこの30年で痛風患者は4倍以上に増加し、高尿酸血症は、痛風のみならず、CKD(慢性腎臓病)の進行や末期腎不全との関連も報告されている。 近年のゲノムワイド関連解析(GWAS)の結果から、痛風の感受性遺伝子として近位尿細管の尿酸トランスポーター(GLUT9,URAT1, ABCG2)に加え、近位尿細管の転写因子MAFが報告された(Nat Genet . 2012;44:904-909)。さらに、MAFはこのGWAS研究でCKD (慢性腎臓病) stage 3以上への増悪にも関連していた。後発の報告でもMAFのrs889472多型は日本人の痛風の疾患感受性と関連があると報告されている(Human Cell.2018;31:10-13)。しかしながら、MAFと痛風の発症およびCKD進行のメカニズムは明らかではなかった。最近になり、このrs889472多型はMAFの制御領域の転写因子複合体形成に重要な部位にあることが報告された。これは、MAFの転写制御に重要な部位であることが推測される。本研究では、MAFが痛風腎の増悪にどのような働きをしているかを解明する。MAFが痛風腎の治療ターゲットになるかどうかを明らかにするのが、本研究の目的である。 まず、野生型マウスに対し、MAFの阻害薬として報告されているMebendazole、Nivalenol、lanatoside Cの投与を行った。その結果をもとに、それぞれの薬剤の投与量を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに実験を行えている。
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Strategy for Future Research Activity |
野生型マウスに対し、MAFの阻害薬として報告されている、Mebendazole、Nivalenol、lanatoside Cの投与結果をもとに、それぞれの薬剤の投与量を設定する。今後、痛風腎モデル(アデニン誘発型慢性腎不全マウスモデル)において、それぞれの薬剤の効果を見る予定である。
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Causes of Carryover |
本年度の実験項目について、既存の物品で消耗品を賄えたため、出費を抑制することができた。来年度以降は、動物の飼育や特殊な飼料が必要な研究が増える見込みである。
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