2023 Fiscal Year Research-status Report
細胞記憶に関わるエピゲノム変化に着目した慢性腎臓病発症の分子機構解明
Project/Area Number |
23K07703
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
丸茂 丈史 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (70265817)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 慢性腎臓病 / DNAメチル化 / エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、環境因子がDNAメチル化異常を介して腎臓細胞のフェノタイプ変化を固定して慢性腎臓病を惹起する分子機構を明らかにして、それに基づいた治療の足掛かりを築くことを目的としている。これまでの研究により、糖尿病性腎症患者の近位尿細管に生じるDNAメチル化異常を明らかにしてきた。本研究では非糖尿病性の慢性腎臓病に解析対象を広げて、解析を進める。腎生検検体を用いて慢性腎臓病患者のDNAメチル化異常を同定する。腎臓切片から、糸球体、近位尿細管など構成成分をレーザーマイクロダイセクションにより分取する。腎がんのため摘出した余剰健常組織をコントロールとして慢性腎臓病での異常DNAメチル化を明らかにする。Infinium EPICキットにより網羅的に解析し、腎臓病で差異のある遺伝子を見いだす。臨床情報との関連解析をするとともに、重要な機能を持つと思われる遺伝子のDNAメチル化異常をパイロシークエンス法および定量的COBRA法で検証することを目指している。糖尿病性腎症と非糖尿病腎臓病について解析し、原因疾患特有のおよび、final common pathwayとなるDNAメチル化異常を明らかにする。本年度は、糖尿病・非糖尿病性腎疾患の腎生検検体の収集を進め、一部のサンプルについてDNAメチル化の網羅的な解析を行った。エピゲノム異常の中でも、DNAメチル化に生じた変化はなかなか元に戻らないため、慢性腎臓病で生じたDNAメチル化異常はフェノタイプ異常の持続の源になっていると考えられる。腎生検サンプルを用いてヒト腎臓に生じるエピゲノム異常を同定することによって、腎障害進行に関わる新たな治療標的が抽出できると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
症例の収集を順調に進め、近位尿細管のマイクロダイセクションを行った。一部のサンプルについてはEPICキットによる解析を行った。得られた結果について、臨床パラメータとの関連性の解析を行い、臨床的に意義のあるDNAメチル化部位候補の選定を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
腎生検サンプルの収集を進める。得られたサンプルで、臨床データと異常メチル化の度合いの関連性の解析を進め、意義のあるDNAメチル化異常候補を絞り込む。得られたヒトのDNAメチル化異常のデータに基づいて、非糖尿病性の腎障害動物モデル、in vitroの解析により、エピジェネティック異常の病的意義の解明を進める。
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Causes of Carryover |
本年度は症例のリクルートを進めるとともに、既存の消耗品を用いた解析を行うことができた。今後、症例の蓄積に応じて解析を行う。
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Research Products
(2 results)