2023 Fiscal Year Research-status Report
Developmental study to elucidate the abnormalities of the fibrinolytic and coagulation systems in hereditary angioedema
Project/Area Number |
23K07759
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
本田 大介 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (50790094)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大澤 勲 順天堂大学, 医学部, 非常勤講師 (60407252)
宮田 敏行 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 客員研究員 (90183970)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 遺伝性血管性浮腫 / 線溶凝固系 / 血栓性疾患 / 早期診断 / C1インヒビター |
Outline of Annual Research Achievements |
遺伝性血管性浮腫(HAE)は、致死的疾患であるにもかかわらず、医師の疾患認知度の低さや、血液検査で線溶凝固系の異常を呈することで血栓性疾患と誤診されることがHAEの正確な診断を得る上での障壁となっている。一方で、確定診断症例に対しては有効な薬剤の投与により、症状は劇的に改善し、QOLの向上や致死率の低下をもたらすため早期診断が重要である。本研究では、HAE診断の障壁となる線溶凝固系異常の病態を解明し、血栓性疾患との差別化を可能にするHAEに特異的な線溶凝固系マーカーの異常の特徴を同定することによってHAEの診断率向上を目的としている。令和5年度には、HAE患者から採取した20血液検体を用いて、線溶凝固系マーカーとして、Dダイマー、FDP、PTフラグメントF1 + 2、可溶性フィブリンモノマー複合体、可溶性フィブリン、プラスミン・α2-プラスミンインヒビター複合体、プラスミノゲンアクチベーターインヒビター1、t-PA-PAI-1複合体などを測定したところ、各2項目間で有意な正の相関を認め、HAEにおいて線溶凝固系カスケード全体の活性化が確認された。また、臨床的に血栓症を認めていないことも確認された。このことから、HAEでは血栓傾向を認めないにもかかわらず、線溶凝固系マーカーの異常が認められ、二次線溶よりも一次線溶の相対的優位性が考慮された。このため、一次線溶と二次線溶の相対化を可能にする、救急領域で播種性血管内凝固の病型分類の際に用いられる「FDP/Dダイマー比」を測定した。血栓性疾患では、中央値はおよそ1~1.5程度であったが、HAEでは中央値はおよそ3~3.5であった。これは、HAEにおける線溶凝固系異常の病態を解明する大きな鍵となり得る結果であり、今後遂行すべく研究経過も見据えながら現段階での成果を学会発表し、論文化を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
HAEでは、血栓傾向を認めないにもかかわらず、線溶凝固系の異常を示すことから、血栓性疾患で優位となる二次線溶よりも一次線溶の有意性に着眼することができ、一次線溶と二次線溶を相対化可能なマーカーとして利用される「FDP/Dダイマー比」を用いることで、HAEにおける線溶凝固系異常と血栓性疾患における線溶凝固系異常の病態が異なることが示唆され、本研究の目的となる両疾患を鑑別することを可能とするバイオマーカーの同定に大きく近づいたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、さらなる検体の確保にて再現性が認められるかの検証を行い、本研究の目的を達成するために確固たる結果を収集し、学会発表や論文化を同時に進める。得られた結果は、ガイドラインを策定する関連学会(日本アレルギー学会、日本補体学会)、European Academy of Allergy and Clinical Immunology、World Allergy Organization)に提言する。また、Webを通じて「HAE情報センター」や「腫れ・腹痛ナビ」、「HAE診断コンソーシアム」にて研究成果を公表することで、広く一般社会に情報を伝える。
|
Causes of Carryover |
当初予定していた検体測定のための物品費を安価に抑えられたため、若干の今年度残額が生じたが、次年度に計画性をもって使用できる額であり、引き続き物品費に充当する。
|