2023 Fiscal Year Research-status Report
siRNAによる血管型エーラス・ダンロス症候群の新規治療開発を目指したin vitro研究
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23K07773
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
林 周次郎 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (00599871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井川 健 獨協医科大学, 医学部, 教授 (00372441)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | エーラス・ダンロス症候群 / siRNA / SNP / 3型コラーゲン / COL3A1 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究に最終的な結果は、にCOL3A1の対立遺伝子の片方の病的変異をノックアウトすることにより、表現型の改善が見られるかどうかである。表現型は細胞の観察、とくに小胞体ストレスの改善と、3型プロコラーゲンの発現量で評価する。まず、必要なのは血管型エーラス・ダンロス症候群(vEDA)と疾患陰性コントロール群の比較である。 本年度では、これまで当院で診断したvEDS患者、約50名のレジストリの作成を行った。遺伝子変異の種類と、今回の研究のノックアウトのターゲットにしているSNPの有無と、遺伝子変異の位置関係を登録した。さらに、3型プロコラーゲンの発現量、カルテ情報(性別、年齢、臨床症状について)も登録した。同様に疾患陰性コントロールについては、COL3A1に遺伝子変異を認めていことを確認できている約70名のサンプルの、カルテ情報をレジストリに登録した。 vEDSでは電子顕微鏡による、膠原線維束の観察により膠原線維束の大小不同のを認めている。膠原線維束の観察は、本補助研究でのアウトカムにはしていないが、膠原線維束の形態異常と、小胞体ストレスには関連性があることが示唆されている。膠原線維束の大小不同を、変動件数で定量化しレジストリに登録した。同様に新患陰性コントロールについても膠原線維束を観察し、変動係数を算出して比較した。これまでの報告よりも、サンプルサイズは大幅に多く、さらに膠原線維束と小胞体ストレス、患者の症状の発現系の違いについてを、昨年度に報告した。(Front Genet. 2023 doi: 10.3389/fgene.2023.1238209.) 次年度は、COL3A1上にあるsiRNAの標的SNPに、特異的に反応してノックアウトを誘導し、SNPを含まない対立遺伝子には影響がすくない、siRNA鎖を設定し、実際に患者由来の培養皮膚線維芽細胞に導入する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
患者レジストリの作成は非常に時間がかかる作業であったが、論文報告(アクセプト)に至るまで、完成されたものを作成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、遺伝子、細胞を扱う機会が増えると思われる。siRNAの設計には時間がかかると思われるが、設計されたsiRNAの導入による細胞の表現型の評価がより重要になってくる。 疾患群とコントロール群での小胞体ストレスの評価方法、3型プロコラーゲンの発現(定量化)についても、検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は患者レジストリの作成と論文の執筆に時間を要した。またデータ破損のトラブルがあり、研究室で予定していた実験はあまり行えていない。そのため、次年度使用額が生じた。次年度は本年度計画していた研究室内での実験を行う予定であり、主にsiRNAの設定に費用を費やすことを計画している。
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