2023 Fiscal Year Research-status Report
HSV-1感染発汗障害マウスを用いたウイルス再活性化による帯状疱疹様モデルの確立
Project/Area Number |
23K07777
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
山本 剛伸 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (50379799)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青山 裕美 川崎医科大学, 医学部, 教授 (90291393)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 単純ヘルペスウイルス / マウス / 小水疱 / デスモグレイン3 |
Outline of Annual Research Achievements |
尋常性天疱瘡(PV)は、表皮細胞間接着構造のデスモグレイン3(Dsg3)に対する自己抗体(抗Dsg3抗体)により誘導されるが、発症に単純ヘルペスウイルス(HSV)感染が発症のトリガーになる可能性が示唆されている。 HSV感染拡大に関するDsg3の役割を解析し、PV(自己免疫疾患)発症のメカニズムを探求する目的で研究を行った。 B6マウス(WT-B6)、Dsg3ノックアウト(KO)-B6マウスにHSV-1を経皮接種させ、接種部位の皮膚状態、各部位のウイルスDNA量、血清抗HSV-1抗体価を測定した。HSV-1感染による皮膚所見について、Dsg3 KO-B6はWT-B6より軽症となり、接種部位のHSV-1 DNA量はDsg3 KO-B6においてWT-B6より低値を示した。一方、所属神経節のHSV-1 DNA量は同等だった。血清抗HSV-1抗体価はDsg3 KO-B6で高値を示した。 B6マウス由来の培養ケラチノサイト(KC)にHSV-1を感染させ、感染拡大、ウイルス複製能を評価した。培養KCにHSV-1を感染させると、Dsg3 KO-B6 KCと抗Dsg3抗体添加WT-B6 KCでは、WT-B6 KCでは認めない棘融解細胞の誘導を認め、HSV-1感染細胞の割合、精製されたウイルス力価はともに低値を示した。 以上より、PV(抗Dsg3抗体誘導)は、HSV-1感染拡大を最小限にする宿主の防御反応(抗Dsg3抗体による粘膜上皮の細胞間離開を介した隣接したKCの感染拡大阻止、抗HSV-1抗体誘導によるウイルス感染拡大阻止)として誘導されると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、単純ヘルペスウイルスの再活性化による帯状疱疹様モデルを確立することである。初年度の解析で、小水疱を形成する病態の確認を行うことができており、以降再活性化を引き起こす病態の解明に取り組んでいく。
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Strategy for Future Research Activity |
表皮細胞間結合分子であるデスモグレイン3が欠損すると単純へルペスウイルス感染による皮膚病変が軽症になるメカニズムを進めていく。動物モデル(マウス)を用いて、特に感染初期の免疫担当細胞の動態に重点をおき、解析する。 ヘルペスウイルス感染により帯状の皮疹を形成するメカニズムの解明に取り組む。動物モデル(マウス)を用いて、特に毛包、末梢神経を中心に解析する。 単純ヘルペスウイルスの再活性化による、帯状疱疹様皮疹の誘導。今まで様々な方法で単純ヘルペスウイルスの再活性化を誘導する研究は行われているが、再現性をもって皮疹誘導できたとする報告はない。動物モデル(マウス)を用いて、免疫抑制、免疫再構築を行い、皮疹誘導を確立させていく。
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Causes of Carryover |
交付額について、ほぼ全額使用しており、端数のみ次年度繰り越しとなっている。 次年度の使用額は、令和6年度交付分と合わせ、試薬購入、マウス購入に充てる予定である。
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