2023 Fiscal Year Research-status Report
非平衡大気圧プラズマを用いた尋常性乾癬に対する新規治療法の開発
Project/Area Number |
23K07785
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
白石 研 愛媛大学, 医学部附属病院, 准教授 (80710863)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 善久 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 准教授 (00735318)
神野 雅文 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (30274335)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 非平衡大気圧プラズマ / 尋常性乾癬 |
Outline of Annual Research Achievements |
愛媛大学理工学部プラズマ学に所属する研究分担者の協力のもと、本実験に適したプラズマ照射条件(照射間隔、電圧、波長など)を検討し、ディッシュに播種した角化細胞に均等に照射できるように照射器の改良を行った。培養角化細胞にプラズマを直接照射すると、照射部位の細胞は24時間後には大半が死滅したが、非照射部位の細胞も大半が死滅することが確認された。このことから、プラズマには直接照射以外の間接的な作用で細胞に影響を与えている可能性が考えられ、プラズマで処理した培養液に注目した。プラズマ発生装置から1.5cm離した部位から、0‐30分の異なる時間で照射し回収した培養液を用いて、角化細胞の生存率を確認した。96ウェルプレートに同数の角化細胞を播種し、24時間通常培養を行った後に、上記のプラズマ処理培養液で培地を交換し、24-72時間後の増殖能をCCKアッセイで評価した。その結果、照射時間依存性にプラズマ処理培養液で角化細胞の生存率(増殖)が低下した。しかし、照射1分以内であれば、角化細胞の生存率はほぼ100%を維持することができた。次に、トランスウェルおよびscratchやストッパーを用いたマイグレーションアッセイを行った結果、いずれもプラズマ処理培養液に暴露された角化細胞では遊走能の低下が認められた。そこで、プラズマで処理された培養液中で何が起こっているのかを検討した。プラズマ照射培養液中の温度やPHは大きく変化しないこと、添加した血清には影響を与えないこと、凍結保存でも再使用が可能であること、冷蔵保存では数週間で効果が減弱すること、などを確認した。現在は、培養角化細胞を用いた乾癬モデルに対してプラズマ照射を行い、乾癬にかかわるサイトカイン、増殖因子、抗菌ペプチドなどの発現がプラズマ照射で抑制されるかをRT-PCR, Western blot, ELISA 等で確認している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの研究で、プラズマ照射後の培養角化の生存率、増殖能、遊走能等について評価し、細胞障害性でない最適な条件を決定することができた。また、随時、プラズマ発生装置の改良を行い、本実験の遂行に最も適した照射方法を決定することができた。現在は培養角化細胞を用いた乾癬モデルに対してプラズマ照射を行い、乾癬にかかわるサイトカイン、増殖因子、抗菌ペプチドなどの発現がプラズマ照射で抑制されるかをRT-PCR, Western blot, ELISA 等で確認している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、培養角化細胞を用いた乾癬モデルに対してプラズマ照射を行い、乾癬にかかわるサイトカイン、増殖因子、抗菌ペプチドなどの発現がプラズマ照射で抑制されるかをRT-PCR, Western blot, ELISA 等で確認する予定である。また、乾癬モデルマウスに対するプラズマ照射も予定している。6-8週齢のマウス背部皮膚を剃毛してイミキモドクリームを5日間連続で塗布し、組織学的に乾癬の病変を形成していることを確認した後に、プラズマを照射する。その後の病変部の変化を肉眼的にスコア化し、経時的に軽快することを確認する。さらに病理組織学的にも病変が軽快することを経時的に観察する。軽快した後も再発の有無を長期間観察する予定である。
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Causes of Carryover |
本実験に使用する角化細胞培地、ピペット類一式、培養ディッシュなどの物品を購入予定としていたが、当教室に使用可能な既存の物品があったため、未使用額が生じた。また、学会発表予定として旅費を計上していたが、データの蓄積中のため発表するには至らず、上記の物品購入費と合わせて334199円の次年度繰越金額が生じた。本額と翌年度分として請求した助成金は、今後の実験テーマである「乾癬モデルマウスに対するプラズマ照射」および「プラズマ照射培養液の組成の解析」等に使用する予定である。
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