2023 Fiscal Year Research-status Report
タイプ2炎症によるバリア回復低下:アトピー性皮膚炎におけるバリア異常の本質に迫る
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23K07787
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
波多野 豊 大分大学, 医学部, 教授 (80336263)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 透過性バリア回復能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まず、透過性バリア機能回復に対する炎症因子の影響を調べるための実験系の確立を目指して実験を施行した。炎症性因子として、アトピー性皮膚炎に特徴的な炎症であるタイプ2炎症に関与するIL-4とIL-13、そして乾癬に特徴的な炎症であるタイプ3炎症に関与するIL-17AとIL-22の影響を検討する実験モデルの確立を目指した。マウスの皮膚をテープストリッピング処置したあとの透過性バリア回復を様々な条件で解析した。そして、サイトカインの皮内投与による影響解析のための最適な条件を探った。透過性バリア機能は、経皮的水分蒸散量(TEWL)を指標とした。 ①テープストリッピングの回数が5~6回で、テープストリッピング後のTEWLが55から70g/h/m2未満でのバリア破壊のモデルが適当と考えられた。 ②バリア破壊刺激後、3時間、6時間、24時間においてバリア回復率を解析した結果、3時間後(20~55%回復)と6時間後(45~70%回復)の解析が最適と考えた。 ③サイトカイン投与処置の最適化のために皮内投与量について検討を行った結果、50μlを2か所で合計100μl投与する条件、100μlを1か所に皮内投与する条件、及び50μlを1か所に投与する条件での検討を行った。50μlを2か所で合計100μl投与する条件で投与液が測定領域に均等に浸透しかつ投与直後のTEWL測定結果に影響を及ぼさないことを確認できた。 以上の①~③の結果から、サイトカイン皮内投与の透過性バリア回復能への影響を解析するための実験モデルが確立した。更に、皮内投与するIL‐4,IL-13,IL-17A,IL-22のリコンビナント蛋白濃度を検討し、投与予定の濃度を10ng/100μlとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
経皮的バリア回復に対する各種サイトカインの影響を解析する実験モデルを確立することが出来たが、影響解析までは進めなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
IL-4、IL-13、IL-17A、IL-22の透過性バリア回復への影響を順次解析する。透過性バリア機能に大きな影響を与える層板顆粒の分泌も含めた解析を行う。
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Causes of Carryover |
実験モデルの確立に予想以上に時間を費やし、各サイトカインの影響を解析するまでに至らなかったため次年度使用額が発生した。次年度には、IL-4,IL-13.IL-17A,IL-22の透過性バリア回復への影響の解析を順次行う予定である。更に、投与後の遺伝子発現変化を網羅的に解析したり、皮膚組織の形態的な変化の有無についても解析する予定である。これらの実験や解析に必要なマウスの購入費や消耗品の購入費として使用する予定である。
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