2023 Fiscal Year Research-status Report
高深度プロテオーム解析による悪性黒色腫血中腫瘍マーカーの探索と臨床応用
Project/Area Number |
23K07796
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
梅村 啓史 日本大学, 医学部, 准教授 (90456070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川島 祐介 公益財団法人かずさDNA研究所, ゲノム事業推進部, ユニット長 (30588124)
森実 真 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (80423333)
山崎 修 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (90294462)
土田 祥央 日本大学, 医学部, 助手 (90410422)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 悪性黒色腫 / メラノーマ / プロテオーム解析 / プロテオミクス / 腫瘍マーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は大学院入学時よりプロテオーム解析研究と腫瘍マーカー研究に取り組んできた。特に悪性黒色腫の腫瘍マーカー研究には2016年の岡山大学病院メラノーマセンター在籍時より継続的に取り組んでおり、現在の日本大学医学部に所属を変更した後も論文発表を行っている。 これまでに測定系を確立した腫瘍マーカーであるインドールの5-hydroxy-6-methoxyindole-2-carboxylic acid (5H6MI2C) と6-hydroxy-5-methoxyindole-2-carboxylic acid (6H5MI2C)を実際に悪性黒色腫患者の血清、81症例分で測定した。2023年度はこのデータについて論文作成し、2024年3月に国際誌に受理された。この論文においては、両腫瘍マーカーのうち、血清6H5MI2Cレベルが進行期悪性黒色腫をよく反映することが示された。さらに既存の他のタンパク質腫瘍マーカーや代謝産物マーカーとの性能比較に焦点を当てた別の論文を作成し、現在投稿中である。また、共同研究者が国際学会で発表することも予定している。今後の予定としては、血清を用いたプロテオーム解析による腫瘍マーカー探索をさらに充実させるため、プロテオーム解析技術の根幹となるタンパク質前処理技術の工夫を共同研究機関であるかずさDNA研究所と実施することを計画している。 また、2023年度はこれまでに研究代表者が実施してきたプロテオーム解析研究で得られたデータの分析手法の改善も行った。多数の候補タンパク質のリストから疾患の病勢を反映する可能性が高いタンパク質を選び出すことが可能となった。今後、抗体を用いた検証実験を行う際に有用となると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年の4月より研究を開始した。まず、共同研究機関の岡山大学病院メラノーマセンターより受領している悪性黒色腫患者血清90症例分をプロテオーム解析用に確保した。また日本大学医学部附属板橋病院皮膚科においても新たに3症例分の血清をプロテオーム解析用に確保した。多数の候補タンパク質のリストから疾患の病勢を反映する可能性が高いタンパク質を選び出す方法を確立することはできたが、プロテオーム解析において重要となるタンパク質の前処理技術の工夫にやや時間を要している。2024年度の早い段階でこの前処理手法の確立が可能となる予定である。研究計画の段階で進捗が遅れた場合に回復可能となるよう計画しており、今後も問題なく研究を遂行することが可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
血清前処理手法の確立後、速やかに血清のプロテオーム解析を行う。病期1から4までの4段階の悪性黒色腫の血清を各病期5例ずつで実施する。プロテオーム解析を実施後、2023年度に確率した手法で多数の候補タンパク質のリストから疾患の病勢を反映するタンパク質を選び出す。速やかにELISA等の抗体を用いた系で検証実験を行う。この検証実験は80-90例程度の規模を想定している。
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Causes of Carryover |
予定していた学会参加を取りやめたため、旅費として計上していた金額が使用されなかった。また、血清前処理の手法が確定しないために予定していた実験がやや進捗が遅れたため、物品費にも残が生じた。2024年度は進捗が遅れた部分の回復が見込まれるため、今回の次年度使用額を物品費と旅費で全て使用する予定となっている。
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