2023 Fiscal Year Research-status Report
Physiological function of GATA1 lacking the N-terminal trans-activating domain in ML-DS pathogenesis
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23K07826
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平野 育生 東北大学, 医学系研究科, 講師 (00708117)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | GATA1 / hematopoiesis / eosinophil / GATA1s |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、CRISPR/Cas9システムを利用し、GATA1sのみを発現するマウスの樹立を試みた。その結果、翻訳開始点が数塩基欠失した異なる2ライン(G1s-A, G1s-B)を得ることに成功した。これらのマウスはヒトGATA1s発現機序と同様に、2nd ATGから翻訳が開始しGATA1sを発現することが予想された。胎児肝臓を用いたウェスタンブロッティング法による解析の結果、期待通りG1s/Y個体では、全長GATA1が消失し、分子量の少ないGATA1sと思われるバンドのみが検出された。しかし、ほとんど全てのG1s/Yマウスが出生せず、胎生致死となっていると予想される。そこで、Hprt-EGFP/YマウスとG1s/Xマウスの交配により得られた成獣G1s/Hprt-EGFPマウスを用いて成体型造血におけるGATA1s発現による影響をフローサイトメトリー解析により解析した。同マウスの骨髄細胞を用い、GFPの発現により正常細胞とGATA1sのみを発現する細胞間で比較したところ、GATA1sのみを発現する細胞では、赤血球分化が巨核球・赤芽球共通前駆細胞の段階で赤血球分化が阻害されていた。また、dG1Ebcマウスと同様にGATA1sのみを発現する細胞では好酸球が消失していた。このことは生理的な量のGATA1s発現では、全長GATA1による機能を代償する事はできないことを示している。さらに、これまでに1症例ではあるが、6ヶ月齢のG1s/Hprt-EGFPマウスがGata1.05/Xマウスと同様にCD71陽性の白血病を発症した。これらの結果は、正常な赤血球分化および好酸球の分化には全長GATA1の発現が必須であること、G1sには白血病発症につながる特異的な機能が存在する可能性を示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたよりも早くG1sマウスが樹立でき、その分、マウスの表現型解析を先に進めることができた。また、長期観察とともに白血病発症の有無を確認するつもりであるが、幸いすでに1症例白血病発症を確認することができている。また、すでにRNAseqに向けてサンプルの準備なども開始しており、当初の計画以上に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
G1sマウスより分取したMEP細胞分画を用いて、RNAseqによる網羅的遺伝子発現解析をおこない、GATA1sにより特異的に制御されている下流遺伝子を同定する。G1sマウスでも、dG1Ebマウスと同様に好酸球が消失したことから、好酸球分化では全長GATA1とIEbからの転写産物由来のGATA1sのどちらもが必要であることが示唆される。野生型マウス骨髄細胞を用いて、好酸球および好酸球前駆細胞において、IEからのGata1発現とIEbからのGata1発現を比較し、分化過程で使用率が変化していないか確認する。
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Causes of Carryover |
マウス飼育量の関係で、dG1Ebマウスの繁殖量を減らし、G1sマウスを優先して繁殖および解析を行っていた。その結果、dG1Ebcマウスの解析で用いる試薬等の消耗品代や野生型マウスの購入代金の分が次年度に回されている。 次年度は、dG1Ebcの繁殖を増やし、野生型マウスを用いた解析を本格的に開始する。また、G1sマウスサンプルを用いたRNA-seq解析などを行う予定である。
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