2023 Fiscal Year Research-status Report
腸管GVHDの治療反応性を規定する局所免疫プロファイルの解明と腸内細菌叢の影響
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23K07837
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
森 康雄 九州大学, 大学病院, 助教 (90573345)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮脇 恒太 九州大学, 医学研究院, 助教 (50774709)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | GVHD / 免疫環境 / 肥満細胞 / マクロファージ / 遺伝子発現解析 / 多重免疫染色 |
Outline of Annual Research Achievements |
Nanostring(nCounter)を用いて腸管GVHD診断時の生検検体(FFPE標本)の遺伝子発現解析を行い、ステロイド治療への良好な反応を示した症例(responder)と反応が不良であった症例(non-responder)の腸管免疫環境プロファイルを比較した。各10検体ずつを用いた解析で、responderではFce受容体やtryptase, cathepsin G, kitなど好酸球や肥満細胞に関連する遺伝子群の高発現を認め、non-responderではFcg受容体やCCL8, CD163, M-CSF受容体などマクロファージに関連した遺伝子群の高発現を認める結果が得られた。 確認された遺伝子発現パターンの差異が、実際にGVHD組織内での細胞の多寡を反映しているのかを検証すべく、Akoya PhenoCyclerによる多重免疫染色を施行した。果たして、responderではmast cell tryptase陽性の肥満細胞比率の増加が、non-responderではCD68陽性のマクロファージ比率の増加が確認された。現在、GVHDのメインプレーヤーであるT細胞と増加していた肥満細胞・マクロファージとの関連について解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予備研究から症例数を増やして検討し、微量検体を用いた遺伝子発現解析結果の再現性を確認することが出来た。また多重免疫染色により、遺伝子発現パターンと矛盾しない組織内の免疫細胞比率の差異を見出せており、次年度以降で治療反応性を規定するメカニズムを解析する準備が整ったと考えられる。ロングリードシークエンサーによる口腔内細菌・腸内細菌叢の解析についても機器の準備・手法の確立は済んでおり、検体収集を進めている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 多重免疫染色で得られた結果に関して、cell-cell interactionの観点から解析を進め治療反応性を規定する病態メカニズムの解明を目指す。
2)新規に腸管GVHDを発症した症例で、組織生検を行うタイミングで舌苔および便スワブ検体を採取。臨床経過を含む患者情報を集積する。
3)集積した検体を用いてGVHDの治療反応性と相関する口腔細菌・腸内細菌の変化がないか検証する。
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