2023 Fiscal Year Research-status Report
血管透過性亢進病態における血管外凝固第IX因子の役割解明
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23K07842
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
坂田 飛鳥 奈良県立医科大学, 医学部, 助教(共同研究講座) (90528457)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 血管透過性亢進 / 血管外凝固因子 / 血管外凝固 |
Outline of Annual Research Achievements |
野生型マウスに種々の分子量の蛍光色素を結合させたデキストランを投与し、血管を透過する分子量の評価を生体内で行うことのできる系を構築した。また、蛍光色素を結合させたフィブリノゲンを静脈注射することで凝固が起こる場所の可視化を可能とした。観察血管としては、マウス大腿および精巣表面の血管を用いた。静脈系ではかなり大きい分子量のデキストランも透過があり、ヒスタミン刺激による透過度合いの変化を確認するためには動脈系が最適と考えられた。ヒスタミン投与後には出血が起きていないにも関わらず血管内から血管外へのフィブリノゲンの漏出が確認され、血管周囲でフィブリンを形成する様子が観察された。凝固第IX因子の欠損マウスは開発者の先生の許諾を得た後、理研BRCで個体化を行なってもらい、研究施設への搬送を行なった。homo、hemiとして提供を受けたため、初期のタイピングの必要性は回避でき、繁殖する個体数も削減ができると考えられたが、一方で一世代目の繁殖では産後の死亡や妊娠がうまくいかない例が多発し、結果として系統維持に必要なマウス数を増やすこととなった。このため、実験に使用できる凝固第IX因子欠損マウスが少なく、定量評価手法の確定には至っていない。繁殖に適さないと判断されたマウスを用いた検討では凝固第IX因子欠損マウスではヒスタミン投与前から少量の高分子量デキストランの漏出が確認され、さらにヒスタミン投与後には野生型と比して漏出率が多い可能性があった。凝固第IX因子欠損マウスではヒスタミン投与前の静脈系で血管外漏出が強い可能性があり、今後動脈系だけでなく、静脈系でも評価を行う予定としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
凝固第IX因子欠損マウスの繁殖に際し、妊娠が成立しない個体や産後の産仔死亡が多発した。また、個体識別のマーキング後に原因不明ではあるが、死亡する個体があった。このため実験に使用できる個体を十分に得ることができなかった。 一方、野生型マウスを用いて行なった評価系の構築に関しては順調に進み、検査・定量化手法の再検討は一部で必要となっているものの今後解決が可能と考えている。ただし、野生型マウスに行なったヒスタミン刺激は投与直後の状態悪化が顕著であり、現在の条件でも予備検討結果には差を認めているが、今後検討を重ねるためには最適な投与濃度の調整を行う必要性があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
野生型マウスを用いてヒスタミン投与法の最適化を行う。また、定量化手法の確立を凝固第IX因子欠損マウス実験に先行して行う。凝固第IX因子欠損マウス実験は繁殖から外れたマウスを用いて開始し、野生型マウスでは決定しきれない観察血管の確定やヒスタミン投与量などの条件を調整する(凝固第IX因子欠損マウスで投与後の状態悪化がひどい時には凝固第IX因子欠損マウスを指標に決定を行う。)。条件が確定した時点で凝固第IX因子欠損マウスを一定数確保して実験を行う。繁殖維持に関しては飼育施設で割り当てられている使用可能ケージが限られており、こちらの拡大も管理者に要求していく。
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Causes of Carryover |
凝固第IX因子欠損マウスをhomo、hemiの状態で得ることができたため、遺伝子タイピングなどに使用する予定であった支出を行う必要性が無くなった。また、凝固第IX因子欠損マウスの繁殖拡大を想定通りには進めることが出来なかったため、同マウスのイメージング用の試薬類に関しても購入を延期した。今後の研究課題遂行に際しては、当初予定と異なり、凝固第IX因子欠損マウスの繁殖で野生型が出現することはないため、野生型マウスの成体を購入して実験を継続する必要性がある。また繁殖が効率的に進まない場合には一度、野生型マウスと掛け合わせの交配を行う必要性もあり、この際には遺伝子タイピングなどに使用する試薬類が必要となる。次年度使用額は野生型マウスの購入費用および、次年度の凝固第IX因子欠損マウスのイメージング用試薬、遺伝子タイピングに使用する試薬類として支出を予定している。
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