2023 Fiscal Year Research-status Report
変異受容体型チロシンキナーゼの細胞内輸送制御による白血病治療薬の開発研究
Project/Area Number |
23K07846
|
Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
田中 宏和 近畿大学, 医学部, 教授 (40360846)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 到 近畿大学, 医学部, 教授 (00294083)
芹澤 憲太郎 近畿大学, 医学部, 講師 (60548593)
森田 泰慶 近畿大学, 医学部, 准教授 (80411594)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 急性骨髄性白血病 / 受容体型チロシンキナーゼ / 細胞内輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、FLT3変異陽性急性骨髄性白血病(AML)において、FLT3-チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)耐性を克服する新たな治療法につき検証するとともに、FLT3-TKI耐性AML細胞におけるFLT3-ITDの細胞内局在やシグナル伝達の変化を感受性細胞と比較し、その生物学的特性を明らかにする。さらに、申請者らが見出した抗精神病薬chlorpromazine (CPZ)がもたらす変異RTKの細胞内局在変化に関わる分子機序を解明することで、より安全で特異性の高い細胞内輸送制御による白血病治療薬の開発につなげることを目的としている。 まず、本年度はFLT3-TKI耐性が報告されている二重変異型RTK(FLT3-ITD/N676D、FLT3-ITD/F691L、FLT3-ITD/G697R)をマウスIL3依存性細胞株Ba/F3へ導入し、CPZ単剤、あるいは既存の抗腫瘍薬(Cytarabine)やFLT3-TKI(Gilteritinib, Quizartinib)との併用が、サイトカイン非依存性の増殖に及ぼす影響について解析した。その結果、二重変異型RTKにおいてもCPZは変異RTKの細胞内局在を変化させ、その活性を大きく減少させることで、単独変異の場合と同程度その増殖を抑制した。一方、既存の抗腫瘍薬やFLT3-TKIとの併用では相乗効果は得られなかったものの、相加効果が認められたことから、今後より毒性の少ない治療を開発する上での有用な方法となる可能性がが示唆された。また、CPZ投与によりSTAT5のリン酸化が強く抑制され、恒常的活性型STAT5を導入することで、CPZの増殖抑制は解除された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、FLT3-TKI耐性細胞株を樹立しCPZの抗腫瘍効果の検証を行なった。また、抗腫瘍効果に寄与する下流分子につき詳細に解析した。その結果、FLT3-TKI耐性細胞株においてもTKI感受性株同様にCPZの抗腫瘍効果を認め、その下流分子としてSTAT5のリン酸化抑制が強く関与していることを明らかにした。我々の研究を通して、FLT3の細胞内輸送を標的としたFLT3-TKI耐性AMLに対する治療戦略として、CPZと既存の抗腫瘍薬やFLT3-TKIとの併用の有用性、さらにCPZの抗腫瘍効果および変異RTKの細胞内局在制御に関わる分子機構の検討の重要性が示唆されたことから、ほぼ当初の目標通りに研究を遂行できていると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在、上記細胞株におけるFLT3の細胞内局在を、CPZ単剤処理およびTKI併用前後で比較を実施している。今後は、より選択的な細胞内輸送経路の阻害剤による変異RTKの細胞内局在変化、および抗腫瘍効果を検討し、CPZと同様の抗腫瘍効果が得られるかを検証し、CPZによる変異RTKの細胞内局在変化をもたらす分子機序を明らかにする。さらに令和6年度は、FLT3-ITD の細胞内局在変化や下流分子の活性化変化を指標にCPZと同様の効果を示す低分子化合物のスクリーニングを実施する。これらの研究を通じて、活性化型変異RTKの細胞内局在を変化させるという新たな機序で抗腫瘍効果をもたらすことにより、TKI耐性を克服し腫瘍の根絶に挑む。
|
Causes of Carryover |
本年度分は、主に試薬の購入に充当する費用として算出していたが、予定よりも少額に収まったため、次年度に繰り越すこととした。 次年度の遺伝子、タンパクの発現解析などに必要な試薬、細胞をFACSで単離するための抗体、培養実験にかかる試薬等に研究費を使用する予定である。 また、国内外の学会における旅費、投稿料にも使用する予定である。
|
-
-
-
[Journal Article] Efficacy of elotuzumab for multiple myeloma in reference to lymphocyte counts and kappa/lambda ratio or B2 microglobulin2023
Author(s)
Nakamura N, Arima N, Takakuwa T, Yoshioka S, Imada K, Fukushima K, Hotta M, Fuchida SI, Kanda J, Uoshima N, Shimura Y, Tanaka H, Hino M; Kansai Myeloma Forum.
-
Journal Title
Scientific Reports
Volume: 13
Pages: -
DOI
Peer Reviewed
-
[Journal Article] Impact of cytogenetic abnormalities in symptomatic multiple myeloma; a Japanese real-world analysis from Kansai Myeloma Forum2023
Author(s)
NakayaA,ShibayamaH,UoshimaN,YamamuraR,YoshiokaS,ImadaK,ShimuraY,HottaM,MatsuiT,KosugiS,HanamotoH,UchiyamaH,YoshiharaS,FuchidaSI,OndaY,TanakaY,OhtaK,MatsudaM,KandaJ,YokoA,KiyotaM,KawataE,TakahashiR,FukushimaK,TanakaH,YagiH,TakakuwaT,HosenN,ItoT,ShimazakiC,Takaori-KondoA,KurodaJ,MatsumuraI,HinoM.
-
Journal Title
Leukemia Research Reports
Volume: 20
Pages: 100395~100395
DOI
Peer Reviewed
-
[Journal Article] Real-world data on induction therapy in patients with transplant-ineligible newly diagnosed multiple myeloma: retrospective analysis of 598 cases from Kansai Myeloma Forum2023
Author(s)
Shimura Y, Shibayama H, Nakaya A, Yamamura R, Imada K, Kaneko H, Hanamoto H, Fuchida SI, Tanaka H, Kosugi S, Kiyota M, Matsui T, Kanda J, Iida M, Matsuda M, Uoshima N, Shibano M, Karasuno T, Hamada T, Ohta K, Ito T, Yagi H, Yoshihara S, Shimazaki C, Nomura S, Hino M, Takaori-Kondo A, Matsumura I, Kanakura Y, Kuroda J.
-
Journal Title
International Journal of Hematology
Volume: 118
Pages: 609~617
DOI
Peer Reviewed
-